帰りたかった家 (講談社文庫 あ 74-2)
帰りたかった家 (講談社文庫 あ 74-2) / 感想・レビュー
ダリヤ
日本らしさをかんじさせる時代の生活がこの本の中で、ちゃんと呼吸をしている。家族がそろい、しあわせにみちみちていた世界が、徐々に徐々に悲しみでみたされていく。あらたなつながりのなかで、あの頃と帰りたかった家を懐かしく思い出すとき、さびしさだけでなくちゃんとかすかながらのぬくもりがよみがえり、こころをあたためてくれるようになる。だれのなかにもねむるあの頃がやさしくよみがえり、懐かしくひたることができそう。いろいろあるけれど、きれいなとこだけでもしっかりわすれず残していたい。
2015/02/08
とくてる将軍
多くの人が経験あると思います。小さい頃に幸せな家庭だったと思っていたら、実は崩れ始めていた家だった事。。それでも、あの家に帰りたい。文章がきれいで、昭和初期の便利ではなかったけど、みんなが繋がりあって生きていた情景が見えてきます。その中で父は優しすぎたのか、上手く生きていけなかった感じです。図書館本。
2018/06/28
コホン
気配りのできる文さんからすれば、娘の玉さんはとても気が利かなくて見ていてイライラしてしまう娘だったのかもしれないけど、間違いなく愛されているし、それをきちんと玉さんが受け止めていることがわかる。素敵な一冊でした。色々二人の作品を手にしているのに、今までこの作品が手つかずだったのが不思議。
2012/09/17
けいちか
幸田露伴の孫、幸田文の娘である作者の自伝的エッセー。どこからが自分で覚えていることなのか、それとも話を他人に聞かされて覚えていることなのか、不思議な、しかし落ち着く文章だった。他の作品も読んで見たい。
2008/04/27
zitto
母と娘の間の空気感の描写がとてもとてもリアルに伝わる。それとはまた別に、娘の目から見た「幸田文」の姿、祖父である幸田露伴とは正反対の人間を伴侶として選んだ母の女としての姿、母としての姿、離婚後に父親も兼業すると宣言する強い母のあり方。ふと読み返したくなる本。
2010/11/15
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