逢わばや見ばや (講談社文庫 て 8-8)
逢わばや見ばや (講談社文庫 て 8-8) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
直木賞作家出久根達郎氏の自伝的な小説。出久根さんが15歳で上京して古書店の小僧として奮闘する日々が、豊富なエピソードを交えながら描かれている。昭和30年代に私は生まれていなかったが、どういうわけか懐かしさを感じながら読んだ。30年代はまだ戦争の影響が残って、庶民が慎ましく生きていた時代だったことが良く分かる。井伏鱒二や三浦哲郎に実際に会いに行く場面はどちらの作家も好きなので、胸が躍った。本文に「私にとって書物は恋人であり、思想であった」という言葉は本好きな人だったら、誰でも共感できるはずだ。
2015/04/30
mt
再読。エッセイのような自伝小説。昭和30年代、中学を卒業したばかりの主人公、即ち出久根達郎は古本屋で働き始める。下働きではあるが、将来、直木賞を取るだけあって向上心が人一倍。少々、固すぎる文章は相変わらず。真面目に商いを続けてきた証だろう。強者の客との接客は真剣勝負だ。古本屋ならではの駆け引きもあるはず。最近、家の近くに古本屋ができた。お婆さんが店番をしているのだが、この間100円の本を買ったら缶コーヒーをもらった。だからという訳ではないが、古本は古書店で購入しようと思う。博識を披露してもらわなきゃ。
2015/09/02
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