群衆の悪魔: デュパン第四の事件 (講談社文庫 か 54-5)
群衆の悪魔: デュパン第四の事件 (講談社文庫 か 54-5) / 感想・レビュー
karatte
再読。まずは歴史小説の如き緻密な描写に圧倒されるが、とにかく登場人物の豪華なことといったら……近代的探偵の嚆矢たるオーギュスト・デュパンに対するは、当時存命だった数々の猛者たち。文豪バルザックに新聞王ジラルダン、革命家ブランキ、果ては若き日のマルクスにルイ・ナポレオンの義弟まで現れ、さながら百花繚乱の趣である。ユゴーやジョルジュ・サンドがモブ扱いという贅沢感もさることながら、狂言回しであるシャルル青年にもちょっとした仕掛けがあり、最後まで楽しめる内容となっている。ミステリとしてはギリギリ及第点かな?
2017/12/07
α0350α
再読です。思っていたより読むのに時間がかかってしまいました。1回目に読んだ時は1790年代のフランス革命の話だと思ってましたが、二月革命の方だったんですね(1848年って書いてありますね)。序盤と終盤の革命前のパリの描写がとても良いです。バルザック、ジラルダン、ブランキ等この時代の有名な人たちについても色々知りたくなりました。事件の話はバルザック邸での鏡のヤツ以外全部忘れてたので楽しめました。
2011/10/06
寛理
仏文科の先生から薦められた本。ミステリ的にはまあまあだが、デュパンが探偵でボードレールがその助手という山田風太郎ばりの設定ですでに傑作といえるだろう。ブランキやバルザックも登場し、「意外な犯人」も出てくる。ベンヤミンとアランコルバンの理論がわかりやすく解説され謎解きにこじつけられているので、確かに仏文の学生には良い。あと、デュパンの口から笠井潔のアナルコキャピタリズムと探偵小説論が語られるので、笠井潔入門としても良い。
2021/01/06
てら
以前読了した一冊。笠井潔は毀誉褒貶いろいろある作家だが、まず当代トップクラスの書き手であることは疑う余地がない。哲学でミステリーなど書けるだろうか?書ける、書けるのだ。本書は矢吹駆シリーズではないが、哲学のみならず歴史とか文学そのものまで引きずり込んだ堂々たる巨編になっている。フランス文学に造詣の深い読者なら、「彼」の正体にはとっくに気づくのだろうが、私は最後の最後までわからなかった。
2009/10/02
ホームズ
オーギュスト・デュパン
2002/07/19
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