ウランバーナの森 (講談社文庫 お 84-1)
ウランバーナの森 (講談社文庫 お 84-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
ジョン・レノン伝の空白期(やや言い過ぎだが、あまり言及されてこなかった時期)を想像性と創造性を持って埋めるような小説。巻末にレノンを語るいくつかの資料が掲げられているが、この作品のどこまでが事実で、どこからがフィクションなのかは私にはわからない。ただ、レノンの隠遁時代の心情は、あるいはこんな風であったかも知れないとは思う。もっとも、もう亡くなっているとはいえ、こんなことを書いていいのかと心配になる。亡霊(精霊?)たちとの邂逅はいいのだが、あのレノンが便秘に苦しむなどという設定は、ファンが許さないのでは。
2024/04/15
ダイ@2019.11.2~一時休止
デビュー作。ジョンレノンのフィクション?。今まで読んだ作品と作風が全然違うな~。
2016/04/29
イアン
★★★★★☆☆☆☆☆某世界的スーパースターの半生を下敷きに描かれた奥田英朗のデビュー作。第一線を退き日本で妻子と過ごすジョンが見舞われた極度の便秘。治療の為に訪れた病院で彼が遭遇したものとは…。本編の大半を便秘に対する苦悩に割き、かの人物の空白といわれる4年間を面白おかしく補完している。フィクションの名の下に誰もが思い浮かべる人物を書き下ろす(こき下ろす?)スタイルは、後の『町長選挙』の「オーナー」「アンポンマン」に通ずるものがある。コミカルな筆致であっという間に読めるが、求めていた奥田英朗ではなかった。
2023/10/24
Tetchy
本書はジョンが軽井沢で送っていた4年間の逗留生活にスポットを当てたお話。ジョンが名作“ダブル・ファンタジー”の創作のきっかけを掴むまでに至る魂の逍遥とでも云おうか。ジョン・レノンに纏わる逸話や実話、エピソードを消化して彼の人生と創作のキーとなる母親という存在、そして息子を上手く絡ませて幻想小説を紡ぐという発想は買えるものの、もう少しエンタテインメントによって欲しかった。私は今は閉館したジョン・レノン・ミュージアムにも行ったくらいのファンだが、それでもなかなかこの物語にはのめりこめなかった。
2011/10/23
りゅう☆
妻ケイコの別荘で休暇を過ごす4回目の夏。ジョンはある日、自分が便秘なことに気付いた。苦しくて≪アネモネ医院≫を受診。そして帰りの森で意外な人物らと出会う。昔、粋がって生意気だったジョン。強盗の末、男を殺したかもしれない。かつてロックスターだったジョン。敏腕マネージャーに「オカマのユダヤ人」と罵ったこと。そして幼き頃、自分を育ててくれなかったママ。ずっと心の中で後悔し続けて苦しんで…。彼らにやっと謝ることができて。でも彼らは死んでいて…。これはファンタジーなのか?ジョンの苦悩が解決し、相手の思いを知った時→
2020/05/20
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