防壁 (講談社文庫 し 42-8)
防壁 (講談社文庫 し 42-8) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
表題作を含めて4つの短篇を収録。いずれも、一般にはなじみの薄い特殊な職業に就いた男たちの物語。要人のSP、海上保安庁特殊救難隊員、陸上自衛隊不発弾処理隊員、第1線の消防署員(これが一番普通か)が、それぞれの主人公。物語は、彼らの「公」に焦点を当てつつ、これにプライベートな部分を巧みに織り込んでゆく。そのことによって、特殊な任務に就く彼らもまた、私的には普通の悩める人間であることを証する。すなわち、物語としての膨らみを確保しているのである。いずれも、なかなかに読み応えのある短篇だが、しいて言えば「昔日」か。
2018/09/30
えみ
一瞬の隙…その僅かな隙が男たちの命を狙っている。体を張って、命ひとつ剥き出しのまま懸けて臨む過酷な現場。まさに私たち国民を救い守るために存在する誇り高き英雄たち。SPの『防壁』特殊救難隊の『相棒』陸上自衛隊の『昔日』消防の『余炎』、4篇収録の短編集。危険ゆえに苦悩が絶えない闘う男たち。彼らは何があっても無条件でかっこいい。人を救うために人を疑う。人を疑っても人を愛す。矛盾の中で任務に就くそのバイタリティをリアルに、そして見事に表現している。そして何より誇り高き男たちの心情…著者の筆致に唯々頭が下がる思い。
2021/05/11
森オサム
著者の作品を読むのは久しぶり。1997年発表の短編集。SP、海上保安庁特殊救難隊員、陸上自衛隊不発弾処理隊員、消防署員、をそれぞれの話の主人公にし、それぞれが女性問題で悩んでいる、と言う設定。悩んでうじうじしているだけでもうっとおしいのに、その上仕事でやっている事が納得出来無い。なぜそんな風に考えるの?、なぜそんな事するの?、と行動がハテナマークだらけで、読んでいてイライラしっぱなしでした。大昔に著者の作品を良く読んでいた頃は楽しめた印象があるんだけど、最近は余り相性が合わないなぁ。他のを読んで見よう。
2020/06/07
金吾
SP、海保特殊救難隊、自衛隊不発弾処理、消防という命の危険をおかしながら他人のために働く人たちの短編集です。推理の要素もありますが、仕事の中身が興味ありました。「相棒」「余炎」が良かったです。
2023/01/25
siro
短編集とは知らずに読みました。どの話も危険が伴う仕事が題材。単にお仕事小説ではなくプライベート、男女の生々しい所にスポットが当てられているようです。短編ではなく長編でもう少しじっくりと読みたいなと感じてしまった。
2014/07/31
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