天風の彩王 下: 藤原不比等 (講談社文庫 く 1-31)
天風の彩王 下: 藤原不比等 (講談社文庫 く 1-31) / 感想・レビュー
ちゃいろ子
頭の良い人間が表面上は謙虚に穏やかに、しかし着々と自分の思う通りに事を進めて行く様に惚れ惚れしてしまった。 女帝や、皇后に反感を抱かれないように、自分の足元を固めつつ。 そんな不比等の前に、理想の協力者三千代が現れ。 またこの三千代の聡明さがね。 今まで読んできた作品の中だと不比等と三千代は憎まれ役的な所があったのだが今作の2人はかっこいい。 周囲への気の使い方が半端ないのが凄い。 始まりは鎌足だけど、 藤原が天皇家の身内として力を振るう基礎を作ったのはやはり不比等なんだなぁとワクワクしながら読んだ。
2024/10/27
keith
藤原の血を天皇家と結ぼうと画策する不比等。欲望には際限がないのでしょうか。すごい男です。NHKの英雄たちの選択やプロファイラーで取り上げてくれやんかな。
2019/06/08
RASCAL
再読。政敵の寵臣の子として天武朝では不遇だった史が、持統天皇の下、その実力を発揮していく。官僚として律令政治の中核となるとともに、持統天皇の女人、肉親の情につけこみ、軽皇子の立太子に暗躍し、自分の娘を入内させて孫を皇太子とする。持統、文武、元明の3代にわたり天皇の寵を得て、位を極め、後の藤原氏の繁栄の基礎を築くが、この後の藤原氏と皇親勢力との波乱も匂わせる。黒岩さんはこの後の時代の話を書いていないので、次に読むのは永井路子さんの「美貌の女帝」かな。
2015/01/25
しんすけ
興味深い時代を扱った歴史小説である。個々の事象を取り上げれば『日本紀』の記述と矛盾している訳ではないのだが背景とか人間心理までに思いを馳せるとすべてが黒岩重吾の創作のように思えてくる。とくに光明子を産んだ三千代と不比等の関係が書かれているような熱い男女関係であったか疑わしい。 長年に渡って不比等を攻略家と捉えていた身には、黒岩重吾の脳裏から生まれた物語と云う気分が払拭できない。 しかしそれらがあるから、律令制度生成期のともすれば退屈になりそうな物語が、興味深く読めている事実も認めなばならない。
2020/04/09
TheWho
下巻に入り女帝・持統天皇は孫の軽皇子の立太子の思惑が不比等と一致し文武天皇への譲位に成功する。不比等は娘の宮子を文武天皇に嫁がせ首皇子(後の聖武天皇)の誕生をみるが、持統院、文武天皇の崩御で、首皇子の生母・阿陪皇女を元明天皇として中継ぎ即位させることとなる。そして不比等が絡む重要人物として伝説の才女と云われる県犬養橘三千代が登場し不比等と三千代の暗躍が、後々藤原氏の外戚政策に繋がり、日本史上類をみない藤原摂関家の繁栄と陰謀の礎を描き切ったお勧めの作品です。
2024/02/05
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