埴谷雄高全集 7
埴谷雄高全集 7 / 感想・レビュー
solaris
難解な思弁小説「死霊」の著者として認識されているが、その他随筆、政治論集は明解で読みやすい。全集この巻では表題作に一番力がある。著者が「成長する作家」と呼ぶドストエフスキーの生涯と、一種の芸術作品の処女作から、人間の存在論、多数の幸福者と少数の苦悩者に至る人類史の構造、精神の自由にまで論ずる晩年の代表作まで、作家の変容を愛情を持って論じている。苦悩の中に生まれる純潔を描こうとした「白痴」、社会の中の組織の問題を考察した「悪霊」、人間精神の自由を徹底的に追及した「カラマーゾフの兄弟」また読みたくなりました。
2019/05/02
OHNO Hiroshi
まだ、知らないドストエフスキーの逸話があるのだな。日本放送出版協会「ドストエフスキー その生涯と作品」昭和40年2月。FM放送された講演に補筆されたもので、とてもやさしいドストエフスキーの入門書である。このころの埴谷雄高は随分と体調悪く、常に横臥していたのであろうか。
2016/03/21
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