マンガは哲学する (KODANSHA SOPHIA BOOKS 魂 20-1)
マンガは哲学する (KODANSHA SOPHIA BOOKS 魂 20-1) / 感想・レビュー
ナハチガル
マンガを題材に専門用語や思想家を紹介しながら哲学的なものの見方を教える入門書、かと思いきや、わりと純度の高い哲学書だった。著者がどこかで「哲学の入門書はそれ自体が哲学書になっていなければならない」というようなことを言っていたが、それをちゃんと実践していると思う。冒頭にあるように、「マンガ好きの方々には、君たちはそれとは知らずにじつは哲学に興味をもっていたのだよ」と伝えることを目的としつつ、つい自分の哲学的問題にのめりこんじゃってる感じ。唐突に挿入されるモーツァルトの話には背筋が冷えた。A+。
2017/03/19
amdd
漫画で哲学、これは面白い。と同時に、まえがきにも「私がマンガに求めるもの、それはある種の狂気である。現実を支配している約束事をまったく無視しているのに、内部にリアリティと整合性を保ち、それゆえこの現実を包み込んで、むしろその狂気こそがほんとうの現実ではないかと思わせる力があるような大狂気」とあるように、怖くもある。昔の漫画って哲学的にもSF的にも進んでたものが多いなぁ。読んでみたくなった!
2012/05/06
テツ
ああそうか。確かにドラえもんは自らの存在理由を否定するために存在しているんだな。ありとあらゆる物事は哲学的な思考をする種になるけれど、なるほど漫画はわりと親和性が高いのかもなあと読み進めて思う。普段は暇つぶしに流し読みすることが多い漫画だけれどせっかくだからしっかりと身を入れて読み進めたらもっと面白いのかもしれない。どんな物事でも自ら考えるきっかけになるんだなあ。
2014/02/25
ぼにい
意味。私。夢。死。人生。無自覚に受容させられているさまざまな約束事に対する疑義。90年代マンガをテキストにすることで、私のような俗人でも考えるきっかけができる。非日常的な設定の物語のなかに超日常的な思索がちりばめられている。面白いなあと思ったのは、哲学している漫画として選ばれている作品たちの多くがマンガ界ではSFあるは怪談としてカテゴライズされていること。哲学は「知る」ことではなく「する」ことであるのだなあと改めて思った。00年代のマンガを題材にして書かれた新しい本が読んでみたい。
2010/12/06
中山りの
著者がまえがきで言うように、「マンガという形でしか表現できない哲学的問題があるのではないか」と思う。 絵があることで言葉がいらないこと、そして競争が激しい中で研ぎ澄まされていく感性が哲学的問いを引き起こさせるのではないか。 いくつも読みたいものがあった。 『長期的な利己的配慮は、それを要求する「自分」たちが他者としていまここに実在してしまえば、もうすでに利他主義であり、一種の道徳に転化するのである。真の利己主義は利今主義を含むはずなのである』p.131〜
2017/10/02
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