午後の行商人 (講談社文庫 ふ 30-14)
午後の行商人 (講談社文庫 ふ 30-14) / 感想・レビュー
k5
「船戸与一」と書いて、「かみさま」とルビをふるような世界観が、30年前にはたしかに存在していました。当方、内藤陳さんではないので、信仰には至っていなかったですが、中学生の脳には未知の南米で、神話感のあるエピソードが展開する船戸ワールドはガンギマリでしたし、その後も精神的カロリーが必要な時には読み返してきた作家です。。。で、スレたオッサンの目で読み返してみると、作品の軸は時代劇だなあ、と思います。大本命の『山猫の夏』はじめ、冒険小説を今年は深掘りしたいと思っています。
2021/01/24
Katsuto Yoshinaga
刊行時以来の再読。モラトリアム期の青年香月哲夫と老行商人タランチュラのメキシコロードノベルで、大船戸らしいダークなビルドゥングスロマンに仕上げられている。今作の叛史は「94年1月1日にチアバス州の4つの都市で土地の解放、諸権利の獲得を求めて、先住民が蜂起したサパティスタ民族解放軍」、本作刊行の3年前の出来事である。このポスト新左翼を受けて大船戸は、「あの若さで時代が変わったことに気づかぬまま夢を見る」キューバ帰りの知識人を批判する。(コメに続く)
2021/05/03
浦
手に入る船戸作品の中で、外国が舞台のものとしては最後に読む作品になった。出版順は分からないが、今まで読んだ作品のアメリカ、アフリカ大陸版の全エッセンスが詰まってるように感じる。学歴無能の意気地なし、僕を含めた平均的日本人である青年が、メキシコの辺境で復讐を続ける老人と歩む中で、男として成長し破滅するビルドゥングロマン。いい。
2020/05/22
こみち
普段読まないジャンルの分厚い本に手をだし、最後まで読めるか心配だったけど、わりと夢中で読んでしまった。「第一回公判」の内容から、ラストは哲夫は死なないけど他の人は死んでしまうんだろうな…と予想しながら読んでいたけど、まさかの不気味な終わり方…。なんとも…。日本は平和だ。
2015/05/30
たーくん
メキシコが舞台。中途半端な若者が老いた行商人と出会い、旅をする。老人には裏の顔があった。そして、若者も男として成長する。
2011/02/13
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