熾天使の夏 (講談社文庫 か 54-6)
熾天使の夏 (講談社文庫 か 54-6) / 感想・レビュー
勇波
矢吹駆の矢吹駆による矢吹駆の為の青春爆弾小説です。『革命』のゲシュタルト崩壊を味わえます(笑)(←言いたいだけ) カケルさん、あんた何やってんだ?とツッコミどこ満載ですがこのシリーズとは相性がいいので読むのが苦になりません。面白いとは思いませんが、強い力で囚われます。すべてよし★
2017/06/18
乱読999+α
駆S第0号作品。極左破壊活動家であった矢吹駆の物語。彼ら、極左テロリストの思想の原点、礎が等々と述べられているものの、学園闘争の残滓のあった大学で青春を過ごし、内ゲバの凄惨さを垣間見た、ノンポリであった私のシンパシーを得るものではなかった。何が彼らをそこ迄駆り立てたのか原因理由が語られていない事への不満が残る。全共闘に身を投じその後、過激すぎる闘争に嫌悪感を抱き、転向した作者ならではの作品で、自己批判の側面を持ち、詳細な心理状態の揺れは一読する価値はあったが、歪んだロジックの羅列は私には馴染まなかった。
2022/03/22
ふじさん
「矢吹駆シリーズ」第零作。『バイバイ、エンジェル』以前に書かれた、著者の処女小説。いきなり観念的な書き出しに読み進めていけるか不安も覚えたが、蓋を開けてみれば実に熱く良質な青春小説だった。展開される一見難解な思索の世界も、噛み砕いてしまえば普遍的な青春期の懊悩とさほど変わらない。執筆当時の時代背景に思いを馳せ、後々の作品に於ける駆の姿を透かし見ながら面白く読めた。終盤の賭博シーンに於ける凄まじい熱量に、半ば酩酊。精神が下向きの時に読んだ為、引っ張られそうになる部分もあったが、最後には駆の実感に同調出来た。
2013/01/29
マヌヌ2号
矢吹駆という人は、例えば「愛」とか「希望」とかいう曖昧な概念を、曖昧なままにして生きていくことができないのだろうなぁと思った。あらゆることに意味を求めてしまうから、最終的に「生きる意味とは?」って問いを徹底的に考え抜いて、無意味と隣り合わせの無尽の荒野に立ち尽くす羽目になってしまう。一切の妥協と欺瞞をけして赦さない、究極の潔癖性だ。ぼくには彼が見たであろう生存の袋小路から抜け出すビジョンは見えないし、ラストらへんのモノローグはサウナ後の外気浴中みてーな状態にしか思えないが、それはそれとして面白かったです
2020/09/18
mnagami
矢吹駆シリーズでは最も難解。ミステリーではないが、 今後矢吹駆シリーズを読む上では読んでおくべき作品。ただ人によってはかなり読みにくく苦行になる可能性あり
2017/07/30
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