Twelve Y.O. (講談社文庫 ふ 59-1)
Twelve Y.O. (講談社文庫 ふ 59-1) / 感想・レビュー
hit4papa
日米間に繰り広げられる謀略戦を描いた冒険小説です。本作品は、背景として沖縄から米軍が撤退したという設定です。米国を恐れさせたアポトーシスIIウィルス、《キメラ》計画、『BB文書』、『GUSOHの門』と謎のワードが頻出する本作品。実行者トゥエルブの計画、それを阻止せんとする「ダイス」、複雑に絡み合う米国の思惑と、途轍もなくハードな内容です。読み進める度に、少しずつ明らかとなていく真相に快感すら覚えてしまいました。本作品は、読了時に全てのワードの謎が明らかになります。特に『BB文書』は、最初から要チェック!
2020/09/30
きむこ
再読。福井さんのデビュー作で江戸川乱歩賞受賞作。戦後、物事を自分で考えない、責任転嫁が当たり前な体質に成り下がってしまった日本。『12歳の子供のまんま大人になれない日本』と表現したトゥエルブ。彼がテロリストとして日本をたたき起こしにかかる。軍オタ的な描写と無機質な文章が読みづらいので、好みは分かれると思うが私は好きな作品。福井さんの初期は『ダイス、凄腕工作員、人情味あふれる中年自衛官、自衛隊の存在理由を問う』と言ったキーワードで描かれている作品が多い。1998年の作品ですが古臭くなく楽しめました。★4
2015/10/31
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
沖縄から米海兵隊が撤退した。それも、たった1人のテロリストのために。テロリストの名は「12」。最強のコンピュータウィルス「アポトーシス2」と謎の兵器「ウルマ」を使い、米国防総省を脅迫する・・・・。乱歩賞受賞の福井さんのデビュー作。ミステリーというよりはサスペンス、冒険アクションもの。スピーディーな展開は飽きることなく最後まで楽しめました。面白いです!★★★+
Tetchy
物語の構造はデビュー作にしては実に複雑でかなり情報量の多い作品。通常の小説の3/4くらいのスピードでしか読めなかった。文体は三人称叙述だが、各登場人物の斜に構えた心情が地の文にはさまれており、ほとんど一人称に近い。情報量の多さも含め、この辺は推敲しているのだろうが、書きたいことが多すぎて削除してもこれだけになってしまったような未熟さがあり、引き算の出来ない作家だという風に受取った。こういう情念にも似た熱き物語を紡ぐ文体は好きなほうなのだが、乗り切れない自分がいた。題名の意味も含め、青臭さを感じてしまった。
2010/05/20
シ也
元ヘリコプターパイロットの平を主人公に、米国と米国海兵隊等を脅迫するテロリスト・トゥエルブこと東馬など、魅力的なキャラクターが活躍する本作。前半の流れはゆっくりだけど、後半では舞台を沖縄に写し、アクションシーンが派手になって面白くなった。「川の深さは」を彷彿とさせる護と理沙や「川の~」のラストに出てきた井島や由梨が出てきて、「川の~」を先に読んで正解だったと実感。にしても戦う美少女の無双はやはり良い。理沙の戦闘シーンに惚れた
2015/12/09
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