妖都 (講談社文庫 つ 22-1)
妖都 (講談社文庫 つ 22-1) / 感想・レビュー
GaGa
初めて読む作家。もっと突飛な内容かと思ったら(そりゃあ、まあこれでも十分突飛ですが)案外しっかりとした骨格のあるホラー小説なので感心した。ただ、終盤はホラー小説にありがちな、うにゃむにゃとなる印象を感じてしまうなあ。続編とかあるのだろうか、あれば読んでみたい。
2012/04/14
えも
初期の津原さん。津原やすみ名で少女小説を書いていたというから、こんな感じだったのかな。小野不由美の「屍鬼」にも似たスプラッタなホラーですが、幻想小説的な妖しさもあり、イザナミ神話や両性具有や音楽へのアプローチや、そこかしこにその後の津原泰水らしさが顔を出してます▼最後が拡散しちゃって締まらないのは、若いからそれもいいんじゃない。それより、書かれたのが20世紀末なんで、ネットもケータイも出てこない! 現代感覚で読んでいたので、途中で気付いてびっくりしました。
2017/06/23
ネムル
再読。都市に眠る言葉が奔流となるラストの超絶的なカッコよさ。それは中学の頃、眼鏡をかけるようになり街中に文字が溢れていることに気づかされた、その驚きを思わせる。またずっと後になって、ジャコ・パストリアスのWord of Mouthによる混沌とした大量の音に接した体験へと繋がっていく。そして以後の津原作品で繰り返し描かれる自閉的な楽園幻想の原初の作品であり、殊更愛着のある大事な作品である。
2012/08/10
ナチュラ
東京に増殖する【死者】 自殺したバンドのボーカル「チェシャ」とは何者なのか? ホラー的ではあるが、古事記に登場する神に関係があったり、 幻想的で妖しい空気感が終始漂う。 ゾンビと似ているが、「見える人」にしか見えない【死者】は得体が知れず非常に怖い。
2014/12/16
maimai
追悼再読。今回は講談社文庫版で。初読時、再読時、そして今回と、いずれも印象は少しずつ違ったが、傑作であるという印象はますます強まった。全編に漂うただならぬ緊張感。単行本発刊時に着けられたオビの惹句――いわく「正真正銘の"怪物”」(綾辻行人)、いわく「本格ホラーの超新星」(菊池秀行)――、などから考えても、当時期待されていた方向のままに作者がこの路線で「ホラー」を書き続けていたら、また違う展開もあったか、という気もしないではない。これが「やすみ」から「泰水」に「転生」後の第1作だということに改めて驚く。
2022/10/17
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