瞬間移動死体 (講談社文庫 に 24-8)
瞬間移動死体 (講談社文庫 に 24-8) / 感想・レビュー
セウテス
西澤保彦氏第9作目。今作品は瞬間移動能力を、犯罪に取り込んだSFミステリです。瞬間移動出来る男が東京からアメリカに飛んで、妻の殺害を試みるのだが計画は失敗に終わる。さらには見知らぬ男の殺害遺体が現れ、ストーリーはどんどん意外な方向に展開してしまう。過去の作品と比べると、コメディタッチのさらっとした感じで読めます。あとがきの倉知淳氏も言っておりますが、とんでもないアイデア、奇想天外なプロット、ひねり王子か君は、すんなり行かない展開、しっかり在るどんでん返しと、読者の期待値は全て兼ね備えた魅力ある作品です。
2015/09/11
ヒロユキ
能力制限のあるテレポーテーション、ドタバタ感、ドロドロの感情と西澤さんっぽさ満載。怠け者が怠けるためには努力を惜しまないという考え方には、非常に共感です(笑)
2012/02/13
hope
主人公は特異体質だ。“テレボートができる”。 え?ミステリに有りかって? はい、有りです。西澤さんですから。笑 ─ロスで起きた殺人事件の発見者は妻。ナイフが刺さった男は全裸でクローゼットから出てきた。 警察も頭を抱える難事件は、東京にいる夫のせいで複雑になっているのだ。ああ、面倒くさい。笑
2021/12/28
安田
恐妻家の中島には、ある特殊能力があった。酒を飲み、場所をイメージすると、そこにある物体と一瞬で入れ替わることができるのだ。ある日、我慢が限界に達した彼は、LA滞在中の妻の殺害を決意。東京から、瞬間移動によるアリバイ作りを目論む。しかし、計画は頓挫し、妻の別荘にはなぜか第三者の他殺死体が出現してしまう…。例によって軽快なコメディタッチだが、今回はちょっとした哀愁も漂う。妻に苛められることに愛を感じてしまう主人公の心理描写が、変に生々しくて可笑しい。ラスト付近のほろ苦い述懐も染みる。ただ、全体的に少々地味。
2017/06/17
ひろ
妻の殺害計画を立てた主人公。東京とロサンゼルスを瞬間移動することで、鉄壁のアリバイを築くはずだったが、不慮の出来事により計画は頓挫する。加えて謎の男の死体が見つかり、事態は混迷を極める。瞬間移動というミステリでは反則級の設定を盛り込みながらも、前提条件をしっかりと築き、制約の中でパズラーを仕掛けてくる。トリックの難易度も絶妙で、掴みかけたところの、その先をいく。自力で真相にたどり着けそうだっただけに悔しい。主人公のダメ男ぶりには呆れるが、結果的に軽く読みやすい。楽しく読み終えた。
2023/12/10
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