室の梅 おろく医者覚え帖: おろく医者覚え帖 (講談社文庫 う 44-2)
室の梅 おろく医者覚え帖: おろく医者覚え帖 (講談社文庫 う 44-2) / 感想・レビュー
じいじ
「宇江佐作品にハズレなし!」。期待通りの面白さ、しかも今作は、密室でのお妾さんの死が殺人か?自害か?を探索するミステリー仕立てです。主人公は所帯をもって5年目、産婆のお杏とおろく医者(今でいう検屍医)亭主の若夫婦。何たって八面六臂で大活躍するお杏の気風が気持ちいい。蛸入道のような亭主とも相思相愛、相性もピッタシです。宇江佐さんには珍しく、夫婦の睦み合いもそっと書き添えてくれています。おもしろ要素満載の時代小説。宇江佐ファンは言うに及ばず、初読みの方にもお薦めの一冊です。
2018/10/25
ミカママ
久しぶりの宇江佐さん。時代モノってだけじゃなくて、当時の検屍官である正哲と、そのお内儀である産婆のお杏が解き明かしていくミステリーであり、ちょっぴりお色気(この夫婦が、ちゃんと恋愛してるんです)あり、と盛りだくさん。お江戸の風情を楽しみながら、すっかり正哲夫妻のファンになってしまった。タイトルもまた、ちょうど季節のものだし。それにしてもラスト、お杏ちゃん、よかったねぇ。
2015/02/19
はつばあば
女性のおろく医者かと興味津々だったのに(^^;。闇医者おゑんのところで気になった本。以前から読み友さん達からこの本の評判がいいのは知っていましたが、私の知らない宇江佐さんなんて・・へそを曲げていました。これは今迄の宇江佐さんと違ってほのかに夫婦のイトナミもあり、おゑんさんと違ってお産を主とし・・年の離れた亭主に可愛がられたお杏・・。いやいやこの本は夫唱婦随?割れ鍋に綴じ蓋?で生を生業とするお杏と死に携わる正哲の、屍の無念を解き明かす法医学の初版本のようなもの。
2019/01/15
ぶんこ
事件・事故で亡くなった人の、屍体が語る言葉を読み取る監察医の正哲と、産婆のお杏夫婦。大きな体と坊主頭の正哲ですが、気は優しい。徹夜をした妻の代わりにご飯を作ったり、洗濯もするとは、惚れました。そんな人としての優しさを持っているから、亡くなった人達の気持ちも汲み取れるのでしょう。夫婦仲良く、正哲の両親や兄弟とも仲が良くて、お杏さんも言いたい事は言って、サバっとしていて素敵です。美代治のような、外面が極端にいい人、いますね。私では見分けられないでしょう。華岡青洲や杉田玄白の医師の良心には頭が下がりました。
2015/11/30
shizuka
おろくって名前かと思ったら、「五臓六腑」の「六」のことと知ってなるほど。そこから「おろく医者」というのは検死をする医師を指す。正哲は医者の家系に生まれながら、死人専門の腑分けを行うおろく医者になった。それが普通に家族に受け入れられているのが良かった。忌み嫌われそうなのに。死体は多くを語るというのは、近頃では常識だけれど江戸時代からもしっかり行われていたのね。殺人事件の解決も面白かったが、正哲と妻、お杏のやりとりがなんとも。憎まれ口をたたきながらもお互い愛し合ってる。そんな理想的な夫婦で嬉しくなっちゃった。
2017/03/21
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