死体を買う男 (講談社文庫 う 23-8)
死体を買う男 (講談社文庫 う 23-8) / 感想・レビュー
徒花
おもしろかった。江戸川乱歩と荻原朔太郎がワトソンとホームズ役になり、不審な死をとげた女装男の真相を追う物語……を発見した小説家、細見辰時がどうやってその小説の原稿を手に入れたのか? そして途中まで別の人間の手により雑誌に発表されていたこの物語が途中で消えてしまった理由について語る作中作のストーリー。とはいってもそんなに複雑な構造でもなく、文章も読みやすい。タイトルの意味はよくわからなかったけど、最終章でわかる真相は膝を打つ。
2020/05/13
nobby
乱歩の未発表作品が発見された!?その設定聞けば惹かれない訳がない!その謳い文句詐称は置いといて(笑)その乱歩への溢れるオマージュが凄い!登場人物としての乱歩はちょっと弱過ぎるけど…心残りは萩原朔太郎をほとんど知らず、その強烈なキャラがピンと来なかった。そんな2人が繰り広げる作中作な『白骨記』自体が二転三転を十分に楽しめる。ただ、それだけでは終わらないのは流石の歌野さんですね!章間に挟まれる細見・西崎達のやり取りから照らし出された真相に思わず納得を重ねるばかり。最後で示されるタイトル、アナグラムと知り納得♪
2018/01/19
🅼🆈½ ユニス™
日本の推理小説のゴッドファーザーとも言われる江戸川乱歩がこの小説の主人公として登場し、小説の中で小説を筆く。独特な物語に面白く没入したが、予想通り(?)に流れるのかなと思った所、一度捻っては第3章ではさらに驚く捻りを持って来てくれてとても満足させてくれた。作中作の構成の理由を大いに納得!解説によるとこの作品は著者の初期のものとの説明だったが、初期の作品がこの程度のレベルなら後の作品はどんだけ面白いんだ?と他の作品が気になり始めた。良かった❗️
2018/10/25
セウテス
江戸川乱歩と萩原朔太郎が探偵役で、消えた首吊り死体の謎を推理する作中作「白骨鬼」と、その作品の発刊を巡る大御所作家と新人作家の物語。作中作は如何にも江戸川乱歩作品らしい設定や文章であり、乱歩作品を懐かしむ様々な仕掛けが施してある。ミステリとしては推理しやすいのだが、少年探偵団シリーズの様にわくわくと心踊り、読みも軽やかに進む。やがて、SFとかファンタジーではなく、作中作と現実の世界が交わってしまう。ああ、そう言う事なのかと、解ってしまえばタイトルの意味も納得となるのだが、よくぞ此処まで考えたものだと驚く。
2018/10/06
aquamarine
江戸川乱歩の未発表作?雑誌に連載開始された「白骨鬼」。作中作として進むこの話は乱歩と萩原朔太郎が謎に挑むという、いかにもな乱歩の雰囲気を纏っています。一方で外側では、作家細田辰時がこの連載に固執します。「白骨鬼」の中の謎には読者としてはよくあるトリックを想像するのですが、さすが歌野さん、そんなにすんなりとはいきませんし、それだけでは終わりません。外側の世界と作中作の世界が繋がったとき、思わずため息がもれました。葉桜のようなインパクトではありませんが、新本格らしいお話で十分に楽しみました。
2018/02/05
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