花の下にて春死なむ (講談社文庫 き 41-3)
花の下にて春死なむ (講談社文庫 き 41-3) / 感想・レビュー
佐々陽太朗(K.Tsubota)
書評家・大矢博子氏によると食べ物を表して、読者に「食べたい」と思わせる技術に特に秀でた作家は池波正太郎、北森鴻、高田郁、近藤史恵なのだそうである。(近藤史恵・著『ヴァン・ショーをあなたに』の解説より) ならば、と初めて北森鴻氏の小説を手に取った。なるほど、小説中、ビアバー「香菜里屋」で供される料理とビールの美味そうなこと、思わず生つばゴクリである。ミステリとしての独特の味わいも魅力に溢れている。これまで一度も北森氏の小説を読まなかったとは迂闊であった。
2015/03/24
おしゃべりメガネ
柴田よしきさんの『ばんざい屋』に対をなすわけではありませんが、こちらはマスターがミステリーを解き明かす展開のシリーズです。とても地味な主人公ですが、ジワジワと存在感を発揮し、クールに謎を解き明かしていきます。こちらも料理の記述に関してはお恥ずかしながらノーコメントですが、ミステリーとしては疲れることなくスラスラと読むことができ、リラックスできると思います。4作のシリーズとなっていますが、どれもそんなにボリュームが多くないのでどんどん読み続けてしまいます。もうお亡くなりになられた筆者なのが、本当に残念です。
2012/11/18
yanae
香菜里屋シリーズが気になっていて手に取りました。シリーズ一作目。もう作者の方は亡くなられてるんですね…。とても素敵な雰囲気のミステリーでした。ビールバー香菜里屋のマスター工藤はおいしいごはんとお酒をだすだけじゃなく、お客がかかえる謎を解決してくれます。人柄もよくみんなが癒されに通う香菜里屋。出てくる事件は結構重々しい殺人事件だったりするのだけど、作風が重くなりすぎないのは、マスターの人柄かな。10年前から今流行りのスタイルを書いているのがすごい!シリーズ四作追いかけます。
2017/06/06
文庫フリーク@灯れ松明の火
やっと読めました、初の北森鴻さん。読み友さんレビューで目にしていたビアバー《香菜里屋》ビアサーバーから注がれる4種類の度数変えたビール、店内の様子、料理が想像していたよりオシャレ。バーテンダースタイルかと思えば、精緻なヨークシャーテリアの刺繍入ったワインレッドのエプロン・マスター工藤。印象深かったのは「終の棲み家」巻頭の標題作が巻末「魚の交わり」に繋がるのですね。安楽椅子探偵ものと聞いていたので、斎場から始まる標題作に戸惑いましたが、渋くて個人的に好みの味です。手元に有る『蛍坂』まで行きます。
2011/05/19
takaC
解説で書かれていた通り、最初と最後のテーマがきれいにリンクした首尾一貫した連作短編集だった。「六粒で七度おいしい短編集」に甚く同意。
2012/07/27
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