雨毒 (講談社文庫 く 1-33)
雨毒 (講談社文庫 く 1-33) / 感想・レビュー
鷹ぼん
黒岩重吾、晩年の現代小説集。このころの黒岩重吾は、古代史関連の作品群で、一つの境地を拓いていたけど、やっぱりこの人の本筋は、本書に集められているような作品だと思う。かつて、西成、飛田もので一世を風靡したころの筆致は、陰をひそめた感もあったが、それぞれの作品に登場する女性たちの描き方に、一瞬、ゾクッとするものを感じるあたり、黒岩作品を読んでいるという実感が沸く。飛田で働く女性の儚く、あっけない最期を描いた『梅雨と魚』に心ひかれた。
2013/11/19
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