花冷え (講談社文庫 き 26-7)
花冷え (講談社文庫 き 26-7) / 感想・レビュー
ふう
誰かを憎んだり拒んだりして生きていくのはつらいものです。弱く見えても、はがゆくても、相手の気持ちをくみ取って受け入れて生きる方が自分も生きやすいと、7編の登場人物たちが語っているようでした。「片葉の葦」「胸突坂」の意地っ張りな女たちが見せるやさしさ。こういう友情もいいかもしれません。 北原亜以子の作品を読むと、木戸番小屋のお捨さんに会いたくなります。
2016/02/22
Mark
何とも切なく悲しさを感じてしまいますが、それでいて憎らしいほど想いが伝わってきます。女の意地らしさ、わかりますね。
2014/01/23
星落秋風五丈原
「恋は盲目」という。 周りの口出しも常識も理性も放り出し、 「好きならば、大丈夫、やっていける。」と唱えて ずんずん道を歩んでゆく。その先にある落とし穴や 行き止まりは、見えるはずだが見ていない。 恋している時は、そんなもの。そのまま、何事もなくうまくいくことも稀にある。でも大概は何かにつまずく。一度つまずけば、困難な問題が ない振りをして通る事はできない。 その時人は、どうするか。乗り越えるか、戻るか、脇道を行くか。人生で恋をすると、そんな選択の連続だ。「花冷え」のおたえも二年前、ある岐路に立っていた。
2004/02/01
ケイプ
じんわり、味わい深い短編集です。女性の意地、嫉妬や妬み葛藤など心のありようがとても上手く描かれています。なんとも哀れな、だけで終わらないラストの余韻もいいです。情景描写に隠れた心情が読み取れる、珠玉の短編集です。
2017/04/25
ソババッケ
7つの短編集。昭和45年から平成3年にかけて発表されたもので、作者の苦難の時代の作品。女の嫉妬や葛藤を描いたものが多く、割り切った気持ちになれない揺れ動く微妙な心情を描く。最後に閃きにも似た展開を示すのも面白い。好みは、ラジオ文芸館でも紹介された「胸突坂」、資金難に陥った菓子屋の女主の心の葛藤と転機を描いている。「女子豹変す」は、幾人かの女のもとを渡り歩く御家人の次男が2人の子持ちの振り売り女に惚れてしまうほっこり系の物語。これらの作品が「木戸番」や「慶次郎」へ続くのかと思うと感慨深いものがある。★3.5
2017/01/23
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