八月のマルクス (講談社文庫 し 67-1)
八月のマルクス (講談社文庫 し 67-1) / 感想・レビュー
再び読書
あぽやんから新野氏の作品に入ったがこの作品も「もう君を探さない」同様ハードボイルドでなかなか良かった。こんなニヒルなお笑い芸人もいないと思うが、フィクションなので拘る事では無いかも知れない。しかし、昨今薬物汚染で持ち切りの芸能界まだ、この時代はそこまでのなんでもあり感は無いのかも知れない。殺人の動機はいまいちだと感じたが、同期に辿り着くまでの過程が、ミステリー風でもあり、江戸川乱歩賞も納得。追いかけていく作家である事は間違いありません。
2016/12/03
ミスターテリ―(飛雲)
最初はお笑い芸人と、ハードボイルドがなかなか結びつかなくて、なんでやねんと、何度もつっこみを入れながら読んでいたが、相方の失踪から、若い女性タレントとのスキャンダル、過去の番組での事故による芸人の死亡など、一気にそこからの事件解決までの流れは見事であった。ただ題名の八月のマルクスが、マルクス兄弟に結び付かず、ましてそれが三人で、それぞれの名前がキィーポイントになっているとは分からなかった。幅広い人に読んでもらうために、できれば知識として最初に物語の中にあったほうが、もっとスムーズに読めたのに残念である。
2020/03/19
kirin
第45回乱歩賞受賞作。レイプの濡れ衣を着せられて芸能界を去った元お笑い芸人が相方の謎の失踪を探っていく、ハードボイルド系ミステリー。芸能界というきらびやかな世界とは裏腹に、描かれるのは人間的なしがらみやもつれ、複雑な権利関係など意外に地味な設定。沢山の人が死ぬ割に、犯人やその動機が薄い気もしましたが、テンポよい文章でどんどん読み進められ楽しめました。何よりも作者のホームレスをしながら作品を書き上げたというエピソードに興味を持ちました。
2016/10/11
ピエール
新野作品初読み。とあるスキャンダルによりお笑い芸人を引退した笠原雄二。それから5年、元相方の立川が失踪し、それと同時期にスキャンダルを書き立てた週刊誌記者の片倉が殺される。少し前の作品ですが、あまり題材とされないようなTV・芸能界が舞台なのがまず新鮮に感じられました。ミステリというよりはハードボイルドに分類される感じで、同じ系統の藤原伊織作品と比較すると及ばない印象でしたが、それでも広げられた風呂敷がきっちりと畳まれた内容には中々に満足できました。ハードボイルドが好きな方にお薦めです。
2015/11/20
Our Homeisland
外れがないと言われる乱歩賞受賞作だけあって、設定も描写も、後半に向かっていろいろと展開が広がっていく中での意外性など、さすがに面白く読むことができて、良いできの小説だと思った。 難点といえば、殺人の動機と方法がやや薄くてリアリティがあまり無いかなという点。他は良いだけに残念だと思いました。また、巻末の解説では、「良い」と褒められていたが、本のタイトルがいただけないと思いました。このタイトルが付けられていることで、あんまり、関係もないし面白くもひねりも無いタイトルなのでかなり損をしていると思う。
2014/12/22
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