冬の伽藍 (講談社文庫 こ 47-3)
冬の伽藍 (講談社文庫 こ 47-3) / 感想・レビュー
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
小池さん、ちょっと冷たく美しい男を描くのが上手いな。女性読者の心を鷲掴みでしょう。男性読者からしても、ちょっと冒険的な大人の女は十分魅力的に描かれています。冬の軽井沢の凛とした空気の中で一瞬だけ煌めいた大人の恋。それから…待って、待って、待った…そして彼女に残された限られた時間のなか、ついにたどり着いた鮮烈なラストが瞼の裏に焼きついて離れない…。
2022/03/26
ふじさん
夫を事故で亡くした薬剤師の悠子は友人の紹介で軽井沢の診療所で働くことになる。そこには、妻の美冬を自殺で亡くした兵頭義彦がおり、恋に落ちる。しかし、そこには好色な義彦の義父の英二郎の存在があり、英二郎の誘いを拒み切れない悠子がいた。第一章は、この三人が複雑に絡まり合いスリリングでエロテックな展開で悲惨な結末を迎える。英二郎を拒否し嫌悪しながらも受け入れてしまう、義彦を愛する悠子の心の揺れが見事に描かれている。まさに女性作家にしか書けなエロスの匂いたつ長編恋愛小説。最後の美しい結末に、涙する自分がいた。
2021/08/01
じいじ
大好きな26作目の小池作品は、エロスが匂い立つ長編の恋愛モノを選んだ。ヒロインは、夫を自動車事故で失った28歳の薬剤師:悠子。そのお相手は、妻を自殺で亡くした33歳の医師と、院長で好色家の義父が、軽井沢を舞台に繰り広げる大人の恋愛劇である。ただし、このお三方は、どなたもイマイチ好きになれませんでした。だが、さすが小池さんサスペンス要素を盛り込んで、小説として面白く読ませてくれます。
2021/07/28
カブ
夫を自動車事故で亡くした悠子、妻を事故で亡くした義彦。冬の軽井沢で出会ったふたりの極上の男と女の小説。惹かれあっているのに、思い通りにならないもどかしさ。最後の最後まで予期せぬできごとが…。映画のように美しい軽井沢が目に浮かび、登場人物一人ひとりの存在が際立っています。最後は涙です。小池真理子氏の夫、藤田宜永氏の「大雪物語」を読んで偲んで本作に巡り会えてよかった。
2020/05/10
ぐりぐら
題名が何だか素敵だなぁ…と借りた図書館本。あまりにも男女のドロドロとドキドキで一気に読了して少々疲れました。ドラマにしたら良いかも。軽井沢の静かな冬の情景が目に浮かぶようで素晴らしく、ぐいぐいと読ませる筆力はさすが小池真理子さん!
2016/04/29
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