共生虫 (講談社文庫 む 3-28)
共生虫 (講談社文庫 む 3-28) / 感想・レビュー
うののささら
2000年ごろといえばイットのちょっと後でインターネットが普及はじめたころ、時代の先端をいく村上龍らしい。インターネットの登場で部屋にいても社会とつながってる気分になる。夜中起きてて昼寝てダラダラしてると、何も身に付かないまま、あっという間に歳とっちゃうな。人と接しないから悪意にもなれてないし、人の気持ちや傷みもわからず親を殴ったり他人をネットで中傷したり傷つけてしまうな。共生虫を体内に飼ってる人間は人を殺す権利があり、ボケた年寄りなんて殺していいと無知なおごりをもつ。未来の社会問題を見事に書いてます。
2021/07/05
眠る山猫屋
再読。時々、村上龍さんの“毒”が欲しくなる。今となっては最凶ではないが、かなり強い“毒”。今作もそう。既に“悪意”や“残虐性”に於いては凌駕する物語(や現実)は多数存在すると思うが、村上龍さんの作品には、単なる風刺に終わらない“毒”が介在している。電脳の世界に溺れかけていたウエハラが、電脳の海に飲み込まれて一体化し、カタストロフィを一種清々しいまでの圧倒的な力で我が物としたように見えて、それでいてただおのが狂気と電脳の深淵に呑み込まれたに過ぎない様を描いているのではないか。
2015/10/27
mmts(マミタス)
ある意味、主人公には何ら共感は出来ませんでした。典型的なインターネットに依存した、所詮は引きこもりだし、ニートだし。結局、お金はお父さんが用意したのに、それなのにお父さんを殺すことは正義だと思っているし。こんな風に典型的なダメダメな引きこもりを表現することは、たしかに村上さんは他の小説でも良かったような。小説は多分、インターネットとか引きこもりとか、ニートが問題視された直前かしら。時代を先取りした、村上さんの才能だと思いました。
2015/04/24
白のヒメ
作者の後書きを読んでも、何が伝えたかったのか、何を物語りたかったのか、さっぱり分からない。「55歳からのハローライフ」の良い印象が強くて、他も読みたくて手に取った本なのだけれど。引きこもりで精神病に甘えている主人公が「自分をないがしろにした他人を傷つける事をアイデンテティーにする」なんて、まんま終われば救いが無い話じゃん。村上龍さん、三冊目を手に取るのは躊躇するわ。
2014/08/29
ユーカ
インターネット小説とあるけれど、あまりにも言葉足らず。デジタル化が歪めたコミュニケーションについて突き付けられた。主人公は自分の並外れた能力に、引きこもりの状態で気付くことのなかったウエハラという男だが、彼があるネットサイトに関わることで、圧倒的な暴力の方向で能力を開花させていく。ウエハラは日常のすぐ隣にいる--仕事の経験もあり、非常にリアルに感じた。デジタルはひとつのツールであって、今までのコミュニケーションの方法にとって代わるような完璧なものではない。一般的な日本人だって明らかに歪んできてるよね。
2015/07/24
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