文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫 き 39-6)
文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫 き 39-6) / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
遂に京極先生も(ご本人は、おそらく不本意だったに違いない)分冊しなければならなった(いろんな意味で、あの本の厚さは殺人的です)。本書『宴の支度』に登場する妖怪は6匹。何れも出処がはっきりしない妖怪ばかり。これは普通であれば異常である。『鉄鼠の檻』のレビューでも書いたが、”始まりのない”モノという存在はありえないから。まるで頭のない地蔵さんみたいで、何も無い処から突然ポオっと出てくるなんて、お化けじゃあるまいし…… ッテ!! こいつ等お化けジャン?! ――そこで新たな哲学的・物理学的疑問が生じる…… つづく
2018/11/10
nobby
「世の中には不思議でないものなどないんですよ」既に序盤で語られていた挑戦的な言葉が、再び最後に告げられ宴の支度が整ったということか…妖怪名で並ぶ短編6つは、逗子の箱根の房総の怪事件で遺された人物達が続々と登場。記録から丸ごと消された集落、胡散臭い団体や集会、何やら薬が共通項で、記憶のスレ違いに黒幕ありか…相変わらず濃く広大に披露される何気ない蘊蓄が、最後には見事に事実を紡ぎ出す。各編をまたぎ散りばめられた人名や事柄の把握は難解ながら、必死に大筋に食らいつく…とにかく関口の心配を一番に宴の始末を見届けたい!
2018/08/16
優希
分厚い序章の物語。今までシリーズで事件に関わった人たちが巻き込まれて行く百鬼夜行の妖怪の世界。全体的に閉塞した息苦しさがありますが、それぞれの物語にかけられた呪縛に縛られていく感覚が心地よくもありました。妖怪論のような語りから立ち上がる独特の視点には引き込まれるものがあります。一見バラバラに見える物語が端々のキーワードでゆるく繋がり、1つの核となる場所で見える風景。宴の支度は整いました。そしてここから新たな始末が始まるのですね。
2016/05/06
ちょろこ
すごい長旅に出る覚悟で挑んだ一冊。読んでも減らない。でもやっぱり面白い。これから何が待ち受けているのか、長旅への荷造りのような感覚で楽しかった。存在したはずの村の消失という不可解な案件から始まり、いつだって危ういイメージの関口さんが今回は本当に危うい。大丈夫だろうか。そして懐かしの朱美さんが目にした怪しい術。謎のハンチング帽薬売りの尾国はかなり不気味で手強そう。待ち侘びていた榎木津さん、木場さんも登場してうれしい。そして絡新婦のあの女性がまさか…。この先を知りたい。それしか言葉が出ないから下巻へ。
2023/09/09
aoringo
山深い村が歴史から消えたのはなぜか。全ての出来事がその土地へと繋がっていく。たくさんの伏線が張られたまま物語は下巻へ。...しかし、これは長すぎはしませんか...?妖怪や民俗学の蘊蓄は専門的すぎてほとんど理解できず。数ページ読み飛ばすという禁じ手を使ってしまった。下巻ではスピード感のある展開を期待したいです。
2023/02/08
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