妖説太閤記 上 (講談社文庫 や 5-22)
妖説太閤記 上 (講談社文庫 や 5-22) / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
本書の秀吉は、最初からはっきり公言している。 「おれは、天下も取るし、女も取る」けれど、勿論この目的を前面に出せば、杭は天下と女、どちらにも打たれて嘲笑される。ただの嘲笑ではない。自分ではどうしようもない生まれや容貌についての嘲笑だ。言い返せない分、どす黒いものが彼の心に溜まってゆく。ふつふつと、ふつふつと。しかし、彼は陰に引っ込めた黒い心を、野心の熾とする。そして皆には、よく知られている陽の部分のみを見せ、笑われる前に自らを笑う。道化になるのだ。しかし、陰の部分が消えてしまったわけではない。
2006/03/04
ユウユウ
再読。一般に思われている秀吉のイメージを覆すこの設定がたまらなく面白い。
2020/04/22
keisuke
捻じ曲がった秀吉。
2024/04/12
かずお
★★★★★ 秀吉の躍動の原動力は、女性だったという斬新な設定。確かに女好きではあっただろうし、お市の方への憧れもあっただろうから説得力がある。 それに、金ヶ崎撤退や中国大返しなどあまりにも準備が良すぎる成功については、きちっと説明がついてしまうんだよな… 竹中半兵衛の悪さ(戦略?)に感動しながら、前巻読了。
2016/11/19
ののの@彩ふ読書会
山田風太郎は多分秀吉が嫌いだが、この作品の秀吉は人間的魅力に溢れてる。とても人間臭い。残忍で冷酷なのに純粋。他の秀吉像をジャックする一冊。遅咲きの厨二病高校生時代、何度も読み返した作品です。上巻には清洲会議までが描かれています。
2017/11/25
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