QED 東照宮の怨 (講談社文庫 た 88-4)
QED 東照宮の怨 (講談社文庫 た 88-4) / 感想・レビュー
W-G
品質が一定…といえば聞こえは良いが、ストーリーの進行の仕方がここまでの全作品ほぼ一緒なのが流石に目についてきた。扱っている歴史テーマに興味がなければ、かなり読むのが辛くなりそうでもある。今作に限っていえば、殺人事件の真相に力を入れないスタンスが確立してきて、それが効を奏したのか、偶然にもかなり意外な犯人設定が出来上がりました的な、狙ったとも思えない驚かされ方をする。東照宮の真実の方も同じくスケールが大きいかわりに、今までよりも説得力に欠ける印象がある。トータルとしてはシリーズ中でまずまずの順位につきそう。
2021/10/02
nobby
久々のシリーズ4作目。相変わらず明示される歴史の謎解きや薀蓄は半端ではない。ないがしろにされがちなミステリー部分も今までの中では一番深かった。ただ、日光東照宮に行ったことが無く、三十六歌仙図はじめ様々な門や紋章や彫刻などが、今ひとつ身近に感じられず残念…それでも徳川幕府と天皇家との確執や呪をかけるせめぎ合いの分析は面白い。そして更にその裏をかく天海僧正の大仕掛けに感嘆!いつもながらタタルの知識だけ別次元、それをなぞる奈々にもついていけないこと多し…
2016/09/29
セウテス
QEDシリーズ第4弾。今回は日光東照宮、三十六歌仙、そして日本の気脈や龍脈に関する歴史ミステリと、手足を切り離す連続殺人事件。歴史の蘊蓄と謎学は、いつもながら読み応え充分であり、タタルが歴史の謎を明らかにする時、連続殺人の犯人も浮かび上がる。このスタイルは定着してきたと思うが、犯人探しとしては推理し易いものの、動機が解り難いという問題がある。犯人のヒントが直線的な表現が強い気がして、「犯人はたぶんこの人」と解るものの、その他が不明という状態が起こり易いと思う。壮大な歴史の謎を、純粋に楽しむ方が良い作品だ。
2019/06/05
chantal(シャンタール)
【愛のQED】うーむ、シリーズ4作目だが、今のところ一番面白かったかも!今回の犯人はえ!?と驚く犯人と言うか、ちょっと無理があるだろうと思うのだが、そこは「殺人事件は置いといて」がお決まりのシリーズなので、肝心の東照宮に関する蘊蓄と謎が面白すぎて、本当にどうでも良くなってしまう。ラインの話は目から鱗。思わず地図に眺め入ってしまった。日本中こんなラインだらけなのかと思うと楽しい!自分でも見つけてみたい!かごめ歌も何か関係が?と思ったら、なるほど最後はそう言う事ね、とスッキリQED。
2021/03/22
えみ
まさか事件が南光坊天海大僧正の仕掛けによるものだったなんて…誰が想像できよう。本当に徳川家康に纏わる「呪」が、遥か時代を駆け抜けて現代の殺人事件を引き起こしたというのだろうか。桑原崇に証明されたら一笑できない。歴史を盾に取られたら、もう人間は太刀打ちできないことは分かっている。歴史の中に隠された謎を解き明かし、事件解決を図るQEDシリーズ第4弾!日光東照宮や三十六歌仙絵をキーワードとして歴史蘊蓄、民族性の特徴、怨霊信仰等を駆使し謎を解いていく手法は毎度のことながら感嘆せずにはいられない。好奇心がまた疼く!
2022/05/02
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