13階段 (講談社文庫 た 94-1)
13階段 (講談社文庫 た 94-1) / 感想・レビュー
サム・ミイラ
間違いなく日本の推理小説の歴史に刻まれる傑作。共感を呼ぶ人物設定と張り巡らされた伏線、そして二転三転するストーリーと衝撃の結末。加えてこの本のテーマである死刑制度のあり方を問うメッセージに富んだ完璧な作品。情景が目に浮かぶリアルな描写は、筆者が映像関係の仕事をされていた事に深く関係していると思います。後に映画も観ましたが、最も重要な「場所」の映像が脳裏に描いていた光景と殆ど同じだったのには驚かされました。ただし映画のラストは小説とは正反対で、筆者の思いと全くかけ離れてしまったようで残念でした。
2014/07/12
ehirano1
巧い!読後はそう思いました。ストーリー全体がとても興味深く全く目が離せないのですが、中盤の死刑囚の心理描写がやけにリアル退官した関係者が書いたのではないかと思ったくらいでしたが、参考文献を見て納得出来ました。また、解説にあるように「本書の底に横たわる大きなテーマのひとつは“社会に対して何らかの負債を持つ人間が、それを背負いつつも社会の(または他人の)ために生きることはできるか”という件には全く同感です。
2022/04/17
青乃108号
いつ執行されるかわからない「その日」を、ただ恐怖しながら待ち続けるしかない死刑囚。しかもそれは自分の身に覚えのない、冤罪によるものだった。その冤罪を晴らすべく奔走する2名の男達と死刑囚の運命は。二転三転する展開に先が見えない。一気読み必至。同じ「死刑」を題材にした「なにもかも憂鬱な夜に」は読後の俺に何物も残さなかったが、本作は非常に感慨深く多くの物を残してくれた。死刑制度そのものの可否を世に問う重厚な作品。貴重な読書体験だったと思う。
2021/09/27
HoneyBear
凄い小説に出会った。司法制度に関する綿密な取材と洞察の深さ、その一方で二転三転するスリリングな展開。一気に読了。
zero1
死刑のタイムリミットが迫る! 自信を持って推薦できる数少ない日本ミステリーの傑作! 傷害致死で服役していた三上純一が仮出所。 刑務官の南郷から仕事を依頼される。 それは冤罪の証明をするというもの。成功報酬は一千万円。 この結末は、とても予想できなかった。 構成は何段にもなっていて、よく練られている。 死刑と犯罪を描きながら、質の高い作品だ。 特に死刑執行する刑務官の苦悩は読む価値あり。 それでも私は死刑が必要だと思う。 乱歩賞に選ばれたのは妥当な選択。 南郷のセリフ、「オカマか」は笑えた。
2018/10/21
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