やむにやまれず (講談社文庫 せ 8-6)
やむにやまれず (講談社文庫 せ 8-6) / 感想・レビュー
コジターレ
中年シングルが主人公の短編集。中年というのは、厄介な世代だ。若者でもなければ年寄りでもない。まだ若いと思いながら、頭も身体もガタがきている。若さゆえの考え方を羨んだり軽蔑したり許したりと落ち着かない。そして、残りの人生やその終わりを考え始めるときでもある。本書は、そのあたりを等身大の中年の視点で描いていて、中年のあり方、肩の力の抜き方、諦めること、受け入れることなどを考えさせてくれる。著者独特の鳥瞰的視点や硬質な文章が好みだ。
2021/07/06
感想・レビューをもっと見る