プラスティック (講談社文庫 い 72-4)
プラスティック (講談社文庫 い 72-4) / 感想・レビュー
青乃108号
読み始めて、少しずつ読み進めて、段々混乱し訳がわからなくなってくる。この混乱した状況の真相が早く知りたくて、俺にしては超速でどんどん読んだ。ますます訳がわからなくなって来る。少しずつわかって来た時の衝撃。あの人物は。この人物は。そもそもこの話自体、一枚のフロッピーに人物ごとにファイルを分けて、時系列に沿って書かれた物であるが、そもそも誰が書いているのか。そしてさらにそれを書いた人物までもが。いささか反則気味である。しかし最後には全ての辻褄を合わせてくる。そして最後の1ページはまさに読み手に迫ってくるのだ。
2024/06/22
シナモン
「え、ど、どういうこと?」の連続でのめり込むように読んだ。「我々は、その誰もが 、同じだけの重さを持っている。しかし、同時に、我々は部分なのだ」だんだん、そういうことかと合点がいったが、最後まで全く飽きさせることなく、最後はゾワッと。なんというミステリー。とても面白かった。本屋大賞超発掘本。出合えて良かった!
2024/05/23
nobby
次から次へと違う人物の語りとしてフロッピーディスクに残された54個もの文書ファイル。誰かが自分のふりをしている疑いを目にしての想い、どうして自分が本物と信じてくれないの!?井上作品らしく掻き回されるばかりかと覚悟するも、思いのほか時系列整理されていてすごく読みやすい。その一方で、語られる事象食い違い腑に落ちない様子に違和感ばかりが増していく。おそらくという予測には行き着いたが、集約された潔さと最後やはり魅せられる仕掛けには感嘆!そしてラストの展開の斬新さはお見事!
2016/11/26
ナルピーチ
2024年本屋大賞発掘部門「超発掘本!」に選ばれた事に納得の一冊。54個の文書ファイルが収められたフロッピーディスク。“向井洵子”と名乗る人物の日記から始まる文書は【File01】から読んでいく事で読者は幾度となく平衡感覚を揺さぶられ、違和感を覚え、疑問を抱き、混乱を巻き起こしながら事件の全容を把握していくことになる。勘の良い人であれば途中でその仕掛けに気付くかもしれない。だがそんな処にこの小説の本質があるのでは無い。最後の【File54】を開いた時、“あなた”は何を感じてどんな言葉を残すのでしょうか。
2024/08/31
ヒロ
最初から不気味な展開で、怖さとこれからどうなるとワクワクしながら読みました。謎が深まるばかりで、終盤までその感じがずっと続いてからの徐々に明らかになる真実。それがまた怖くなるような展開で今まで読んでいた話がそんな感じで繋がるのかと驚きも沢山ありました。読み終わった後の読了感は凄く満足でしたし、こんな作品がまだまだ自分の知らない所に沢山あるんだなとこれからもどんどん読んでいきたいです。
2024/08/18
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