煙か土か食い物 (講談社文庫 ま 49-1)
煙か土か食い物 (講談社文庫 ま 49-1) / 感想・レビュー
てち
人生にはいろんな出会いがあって、だけど長続きするのなんてたったの一つか二つ。いろんな苦しみや諍いを通り抜けることになるけれど、一度背を向けると彼らはあっという間に遠くに行ってしまう。だから僕は大切に思う人をしっかりと捕まえておきたい。
2021/02/07
aquamarine
改行のないギッシリ詰まった文字にいきなり胸倉をつかまれます。目を離すな、気を散らすな、読み落とすな。突然出てきた数式とグラフにヒャッホーと叫び声をあげたくなったのに続く暗号を楽しむ暇も与えられず、あらためて地面に叩きつけられたように与えられる痛み。家族とはなんだ、愛とはなんだ。暴力とはなんだ、連鎖とはなんだ。頭の中はぐちゃぐちゃで、泣きそうになりながらページをめくりました。メフィスト賞らしい、ミステリでくくっては勿体ない作品。全ての設定の妙に、読後は長距離走を走り切ったような疲労と満足感が残りました。
2017/12/03
優希
第19回メフィスト賞受賞作。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者に身近な人がなるというのは、犯人に対して復讐心が燃えるのは当然ですね。血と暴力にまみれた壮絶さとスピード感あふれる世界に衝撃を受けました。改行の殆どない文章も奇天烈さを感じます。
2018/01/29
とら
舞城王太郎のメフィスト賞受賞作にしてデビュー作。読み終わりたくなかったので一章に一日かける勢いで読んだけれどやはりちょっと我慢出来ない時があった!もう駄目だ。舞城中毒だこれw独特の言い回しと文体と内容に翻弄されて頭ぐちゃぐちゃになるけど癖になる。しかも今回の作品は最後またこれ温かくて!九割はバイオレンスで一割家族愛。でも読後感すっきり、にはならないんだな~これwスピード感ありすぎて一息つけないから最後まで気抜けなくて終わった後にほっ、となる感じ。これがデビュー作か...。凄い新人を見つけたもんだ本当に!
2012/09/10
セウテス
メフィスト賞受賞の作者デビュー作品。語り手奈津川四郎は、母親が連続殺人未遂事件の被害者の1人になったと連絡を受け、福井の実家に戻って来た。そこには家から行方知れずとなっている兄二郎を含めた家族の問題が在り、ミステリの謎と並んで描かれる。やりきれなさを如何に表現するかは、人だからこそ重要な問題だろう。その一つが暴言暴力である事は、善し悪しを語るより大切なものが在ると信じたい。只本作は、子供からの目線の物語であり、母親の想いが描かれてはいない事を覚えておきたい。真相は兎も角、謎解きの満足感はしっかりとある。→
2019/12/14
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