終戦のローレライ(2) (講談社文庫 ふ 59-6)
終戦のローレライ(2) (講談社文庫 ふ 59-6) / 感想・レビュー
yoshida
特殊兵器「ローレライ」の正体が明らかになる。ローレライを回収した伊507は命によりウェーク島基地へ向かう。制海権、制空権の無い太平洋を進む伊507は二隻の米軍潜水艦に苦戦する。絹見艦長の起死回生の策のもと、起動するローレライシステム。ナチスのアーリア人優性の思想のもと偶発的に目覚めたローレライシステム。非人道的な実験の元に開発され、運用も非人道的であった。母国であるナチスドイツから蔑視された日系ドイツ人の兄妹。人種を超えて協力する兄妹と伊507乗員の日本人達。人種の差を超えて融和する彼等の姿に希望を見る。
2020/07/14
Koning
いよいよ伊507潜としてSSの制服を着たままのフリッツ・エブナーと共に九州大回りのナーバル回収とガトー級「しつこいアメリカ人」との戦いつーところ。だが、この巻はこの謎の新兵器ローレライの秘密、エブナーの生い立ちと絹見たちの過去や朝倉の暗躍のあれこれが徐々に明かされる巻でもあるという。そして何よりローレライシステムの真実というかね。まぁ、すぐに想像ついちゃうことはついちゃうんだけど重い。そこらは重たいんだけど、ちゃんと娯楽小説になっとる!という意味でも凄いかも。つか、残り2冊しかないのか
2015/11/20
まつうら
第二巻でようやくローレライの全貌が明らかになる。悲しいかな、ナチスの人体実験で生まれた偶然の産物だった。しかしローレライに軍事的価値を見たナチスは、量産を目指して人体実験の強化に乗り出す。こんな酷いことができるのは、実験対象が人間ではないと思っているから。選民思想と言っているが、平たく言えば人種差別。異民族は人ではなく動物だとする価値観に、沸き上がる嫌悪感を隠せない。それにしても、ルツカの脳実験のシーンには息をのむ。フリッツが涙を流したように、誇りも信念も本当の恐怖の前では無力だということを痛感する。
2023/03/03
goro@80.7
砲塔を積んだ潜水艦があること初めて知った。米軍潜水艦との闘いから伊507号の行く末はどんな展開が待っているのか3巻へ。
2023/10/28
ハタ
母なる海に抱かれて、ローレライはまだ見ぬ深い深海に孤独に泳ぐ。恐怖に怯える事なかれ、誰かの為に生きよ。果てる事のない憎悪の心よ、私の願いに耳を澄ませて、すべての憎しみを拭い去れ。我が腹に抱えしは血肉の通わぬ兄弟達。無骨なれど勇ましき戦士達。幾多の苦難と相見えようとも、我が鋼鉄の身体と共に運命に抗うのみ。
2015/09/04
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