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終戦のローレライ(3) (講談社文庫 ふ 59-7)

終戦のローレライ(3) (講談社文庫 ふ 59-7)

終戦のローレライ(3) (講談社文庫 ふ 59-7)

作家
福井晴敏
出版社
講談社
発売日
2005-02-15
ISBN
9784062750028
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終戦のローレライ(3) (講談社文庫 ふ 59-7) / 感想・レビュー

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yoshida

広島と長崎に投下される原爆。ソ連の満州、千島、南樺太への侵略。ウェーク島へ辿り着いた伊507は黒幕である浅倉大佐の指示で米国西海岸攻撃に向かう。攻撃により条件付降伏を引出す筈が、浅倉の真の狙いは別にあった。実際、浅倉の主張は現代の日本を現してはいる。戦争の総括をせず、生き延びた軍人や政治家は戦後も権力を持った。経済的な利益は得たが日本は未だに米国の属国であり、自分で判断することが苦手である。だが、浅倉の望む終戦は市民に膨大な犠牲を強要するもので狂気である。浅倉のアジに異を唱えた人々に希望と可能性を見る。

2020/07/15

ハタ

黒鉄の躰から産み落とされた死が静かに堕ちていく。凄惨な産声を叫びながら地表に届いた時、青い天空に光る太陽と別に地上にもう一つの死の太陽が現れ、全ての存在が閃光と共に無に帰る。産み落とされる死を見た時、人は人間の知恵の業に初めて気付き、過去は二度と戻らぬ事に涙する。人はどうして生きるのか?どう足掻いても生きなければならないのか? 金科玉条に思考を停止すれば良いのか?大義名分を貫き通せば良いのか? 漢達の信念と信念が火花を散らし、混迷の海に大輪の花々が咲き乱れる。願わくば、安らぎを。 ささやかなる眠りを。

2015/09/10

まつうら

広島と長崎に原爆が投下された第三巻。魂魄をも焼き尽くす秒刻みの描写には息をのんでしまうが、三発目を東京に落として「国家の切腹」をするのだという議論が巻き起こる。大本営と宮城を焼き尽くしてけじめをつけなければ、戦後の日本人はアメリカの圧倒的物量に飲み込まれ、大義に代わって稼ぐことを正義にしてしまうと論ずる浅倉。たしかにその通りで、残念ながら日本人はそうなってしまった。しかし正義を取り戻すためとはいえ、普通に暮らしている東京市民をも焼き尽くすことは許されない。浅倉の議論は、天才と紙一重の狂人の論理だ!

2023/03/03

背古巣

この巻はローレライを背負った"伊507"が目指すべき方向を提示する巻だったような気がします。奪われた指揮権を奪還するための戦いは、多くの犠牲を出しました。土屋は冷酷でしたが、その生い立ちを知ると、フリッツと同様にそうしなければ自分を守れなかったんだなと思います。ただ、理解はしますが共感はできないです。もっと早く制圧する機会があったにもかかわらず、それができないことに腹を立てながら読んでいる自分がいました。次巻は最終作戦ですね。無理だとは思いますが、みんな無事に作戦を遂行できますように。

2016/09/20

Richard Thornburg

感想:★★★★  史実に違わず、まずは広島に原爆が投下され、次に長崎へ原爆投下。  概略的には他人事のような大本営内での後手後手の話と、「国家としての切腹」を目論んで暗躍する浅倉大佐の話がメイン。  前巻がそれぞれの抱く大義と正義についての原点だとすれば、本巻で語られる大義と正義は生死を懸けた極限状態において、それぞれが実感として会得したものとして語られているところはかなり重いです。

2023/05/13

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