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クラインの壺 (講談社文庫 お 35-28)

クラインの壺 (講談社文庫 お 35-28)

クラインの壺 (講談社文庫 お 35-28)

作家
岡嶋 二人
菅浩江
出版社
講談社
発売日
2005-03-15
ISBN
9784062750172
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クラインの壺 (講談社文庫 お 35-28) / 感想・レビュー

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徒花

ミステリーのようなサスペンスのようなSF……という感じ。五感をすべて活用したVRゲームのシナリオを作った主人公がデバグのために完成したゲームをプレイしていくのだが、次第に現実とゲームの中が混濁していく……という内容。初出が平成元年でもう30年くらい前の作品なので、設定とかは古臭さがある。あと、今風に作るならさらにどんでん返しが必要だろうなと。ただ、文章は読みやすいし、登場人物もキャラクターが立っていて、すいすい読み進めていけるのは心地よい。

2018/05/05

nobby

これはもう間違いのない傑作!何より1989年にこのバーチャル発想って!?意味深な契約書から始まるが、中盤までは“クライン2”でのゲーム体感の様子に引き込まれる。途中予想出来る危惧も含め、主人公が疑っていく様がとにかくスムーズ。途中、ピアス・名刺の所在の伏線もすっかり騙されてしまった。ラストに向けては、現実と虚構が交錯しあい、結局“内”なのか“外”なのか、まさにクラインの壺。現実的にも何かあり得そうでちょっと震えた読後感。

2015/05/24

青乃108号

読み終えるまであっという間だった。今現在、巷で言うところのバーチャルリアリティ体感機器が幼児の玩具にしか思えなくなる程の、超仮想現実に人を取り込んでしまうクライン2。今、自分がいる世界が現実かそうでないのか、もはや判らなくなった彼は浴槽で自らの手首を切るが、彼がどちらの世界にいるのか結果的に彼は知る事は出来ない。いやそんな事よりも今、この本を読み終えてこのレビューを書いているところの俺自身も、もしかしたら誰かの仮想現実内のデータのひとつに過ぎないのかも知れない。真面目に生きてきたけどそろそろ。いいか。

2021/10/13

takaC

なんとなく意味もなく岡嶋二人回顧読書(懐古じゃなくて回顧だよ)しようかななんて思い立って手近なところにあったこの作品からさっそく開始。次は『焦茶色のパステル』にしたいけどどこにあるのか見つけ出せないから『99%の誘拐』かな。でも、そしたら単純な遡りになっちゃうな。

2015/07/25

あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...

岡嶋作品お初となる作品。今でこそやっと耳慣れてきたバーチャルリアリティー。その世界観を今からなんと30年以上も前に、しかも遥か想像の上を行く設定で描ききった作者のセンスにただただ驚かされる。今SFの世界のことと思っているようなことも、科学の進歩で将来は現実のものになるのか。だとすると、人の意識でコントロールできる範囲で止めておかないと、人類の進歩を超えた未来の世の中は取り返しのつかない終焉を迎えることになる、そんな警鐘を鳴らしているような、うすら寒い恐怖に包まれつつ書を閉じた。

2021/04/16

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