きのう、火星に行った。 (講談社文庫)
きのう、火星に行った。 (講談社文庫) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
自分ではふつうに過ごしているつもりなのに、なぜか衝突が多い。そして6年生になってから、7年間も離れていた弟との同居が始まる。両親は抵抗ないけれど、小学生にとっての7年は人生の半分を超えるのだ。肉親なのに慣れないストレス。正面から言うわけにもいかない。一人称で書いてあるのに、地の文で「山口拓馬は」と書く。自分を半分つき放して見ようとするのは、ちょっぴり大人への道を進んでいる証拠。ラストの体育大会のハードル・レースの書き方が、ほんとうにハードルを飛び越える感覚のような気がした。まさにラストスパート!
2021/12/09
zero1
描きたいことは理解できるが、ワサビが欲しい作品。本気になることの意味を小6男子の世界で描く。山口拓馬は何にも熱くならない。勉強、運動で能力はあるのに。病弱の弟が家に戻ってきた。面白くない拓馬。学校で寝ているうちにハードルの選手になってしまった彼。「でく」と呼ばれるクラスメートと練習することに。人間関係やテストでの不正など小学生にもそれなりの世界がある。名セリフはこれ。【生きていることがつまらないのは、他人のせいじゃない。おまえのせいだ。なにやったってつまらないのは、おまえがつまらない人間だからだ】
2019/10/08
@nk
小6の長女がこの冬、読書感想画を描いた本を拝借し読了。冷めた目で日々をやり過ごしていた小6男子が主人公。ハードル走に選出され、無我夢中で駆け抜けるまでの物語だった。足が不自由だったり、配慮なきアダナを付けられたり、悪巧みに巻き込まれたりする同級生たち。そして家では長期入院していた弟が帰ってくる。おそらく“ハードル” というものに、著者の思いが込められているんだろう。思春期の心に隠れていた素直さが、周囲の変化と相まって立ち昇る。幻想的なクライマックスが描かれていた。(長女の感想画も、まさにそのハードル)
2024/02/07
BlueBerry
読みやすくてサラッと読了。勉強もスポーツも特に一生懸命やらなくてもかなり出来て、そのくせ何に対してもやる気が無いという主人公。作者の意図は分かるのだけれど共感できる読者はどれくらいいるのかな?その当たりが少し違和感が残ってしまった。
2013/07/07
tktcell
何をやってもつまらない。別にできないわけじゃない。やればある程度のことはできる。でもそれをやる意味がわからない。だって楽しくないから。やる気がないという状態。勉強もスポーツも日々の生活さえ、つまらない、楽しくないと感じることがあるかもしれない。きっとイライラするだろう。でも、それは拓馬のお父さんが言うように誰の所為でもない。忘れてはいけない。つまらないと思うのは自分の所為だということを。2時間程度でさらさらと読んでしまったこの本。思いの外、非常に素敵な本だった。
2014/05/07
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