流砂 (講談社文庫 ふ 38-5)
流砂 (講談社文庫 ふ 38-5) / 感想・レビュー
ふじさん
突然の病で休職中の塩野が、訪れた奥能登の小さな宿で知り合った志津子と大人の恋物語。訳あって東京か戻った志津子は、疲れた男を温かく包む、翳のある優しい女。終わりある恋と知りながら、二人は燃え上がる。大人の恋を描いた渋い作品だが、妻に逃げられた山崎、女の未練を捨てきれない沈金師・吉武光太郎、幼馴染を忘れられない野呂等、恋をめぐる挿話もなかなかいい。幾つものの恋話を登場させて、塩野の恋が浮き彫りになっていく。冬の能登を舞台に、情感豊かな恋愛模様が描かれていく。切なく辛い大人の恋物語を存分に堪能できた。
2023/11/18
MIKETOM
長期病気療養のために訪れた能登外浦の寂れた漁村。そこの旅館の女将と懇ろになり…。藤田得意の不倫もの。終盤のクライマックスも特になくやや地味な印象。だけど当事者始め登場人物たちの心模様が繊細に描かれていて、そこはさすが藤田って感じ。この地の観光資源の鳴き砂がとある事情で何年も鳴いていない。しかし近々鳴きそうな雰囲気。ラストまでに鳴くのかどうか、その辺が見どころかな。地図を見て特に等高線をチェックし、季節感なども織り込みながら空想で風景画を描くという画法を紹介している。書いた後の照らし合わせは楽しいだろうな。
2021/07/30
じいじ
藤田宜永の味が十分にでたしっとりとした大人の恋物語である。 性描写は官能的ではあるがいやらしさを感じないのがいい。 奥能登を旅したくなった。 ★★☆
2012/12/10
ほのたろう
能登の旅館の女性と一人旅
2006/08/10
あきら
奥能登に療養で訪れ、塚本屋旅館に滞在した主人公となる新聞社勤務の塩野が、再会する旅館の妹志津子と深い関係になる。塩野はいずれ終わりが来るその恋に女の芯の強さを知る。
2010/03/11
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