冬の旅人 上 (講談社文庫 み 11-11)
冬の旅人 上 (講談社文庫 み 11-11) / 感想・レビュー
マツユキ
1880年、絵を学ぶため、ロシアに渡った環は、製造画の模写に励む毎日だったが、異母妹の夫に公共美術館に連れて行かれ…。主人公の人間関係、ロシアの政治や宗教、信仰、それに官能で、ごちゃごちゃで、主人公も幻を見たり、目的を見失ったりで、先が見えないんですが、引き込まれ、いっきに上巻を読みました。下巻も楽しみです。
2024/02/13
びっぐすとん
今日は積読本消化に最適😅う~ん、ロシア文学や佐藤亜紀『ミノタウロス』が苦手だったのもロシア人とかロシアの風土が合わないからなのかも知れない。皆川さんのドイツとか海外モノは読んでるのに、この作品ツラい。主人公の日本人も苦手で、誰の気持ちにも寄り添えず、物語の世界に入っていけない。国土が広く厳しい土地柄か強いたげられたからか?気持ちの切り替えも割り切り方も大胆で、ロシア人についていけない。いつもの美青少年じゃなくて、どっちかというとショタ?なのも面食らう。想像していたのと全く違う展開に動揺。頑張れ!私。
2019/10/12
秋良
皆川博子と言えば舞台はドイツか日本、て感じなんだけど、今回はロシア。最近読んでるものがろロシアづいてるので、出てくる人たちがみんな「あぁロシア人だなぁ」という感じでリアル。自分の好みの絵を見たときの感覚が、性的な快楽と似ているという感覚は、分かる。
2016/09/23
あ げ こ
濃密な愉悦を呼び起こす美への傾倒。遠い日の鮮烈な記憶、忘れ難い恍惚は今なお、その身に息づいている。ただ再会の時だけを望み、自身の手によって表す事だけを望み、追い求め、彷徨う。それは背徳感をまとう傾倒。いくつもの解け難い矛盾と共に抱くが故に。暗さを帯びたまま、それでも、自身の救いとなるほどに増して行くその濃さ。痛ましいとも、艶かしいとも思う。矛盾に惑う素朴さを捨て切れぬまま、苦痛の中にあってさえ、それを思う事で、自身を守り切る事が出来るほどのものを持つ事に対し。難儀な、けれどそれ故に魅惑的であるとも感じる。
2015/10/03
rodinnk
舞台はロシア。テーマは絵を描くことを通じた性と生、運命、異端。「わたし」という一人称で語られながら、主観的な印象は受けない。主人公やその周囲を縁取っているのは皆川さん自身なのだろうか。一文一文、全ての描写に魅せられる。地を這うような劣悪な環境でも、何故か人々が愛おしいと感じる。脳内イメージ画像は沙村広明の世界。間違い無い。
2015/03/13
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