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マラケシュ心中 (講談社文庫 な 59-2)

マラケシュ心中 (講談社文庫 な 59-2)

マラケシュ心中 (講談社文庫 な 59-2)

作家
中山可穂
出版社
講談社
発売日
2005-05-01
ISBN
9784062750912
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マラケシュ心中 (講談社文庫 な 59-2) / 感想・レビュー

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優希

灼熱のマラケシュのようにひりひりとした熱い恋の物語にのめりこんでしまいました。女性同士のとても切なくて痛みを伴う恋愛。全てを犠牲にしてまでもお互いを愛し合う気持ちが突き刺さります。恋愛、狂気、情念渦巻く世界。破滅的な狂気の美しさ。絢彦と泉は覚悟と情熱を持って愛し合っていたに違いありません。濃くて重い。体中のエネルギーを奪われたような感覚になりました。

2016/03/03

コットン

イベント『2021年、今年読んだ本はこれだ!』でのなるさんのおすすめ本。百合ものとシスターフッドものの中間と言えるような本で心理的葛藤を抱えながらもぶっ飛んだ(小説家や作詞家ではない)女流歌人を主人公に据えている点が物語をより複雑に面白くしている。第四章辺りからは怒涛の展開が!

2022/01/13

夜長月🌙@新潮部

業の深い主人公たちの百合小説でした。百合小説であり不倫小説でもありますが行き詰まって安易に主人公が心中してしまうような単純なものではありません。もっと深い結果がありました。彼女の生き方を肯定するものでもありませんし、真似できるものでもありませんが、彼女そのものには何か共感できてしまいます。時折はさまれる果つるなき不倫の短歌も楔を打ち込むような鋭いアクセントとなっています。情欲を激しく詠みあげる歌人が主人公という設定はとても成功しています。おすすめです。

2021/12/27

なる

年明け1冊目。年末に読み始め、これは危険だと直感して少し時間を置きながらゆっくり読んだ。今までに触れた中山可穂作品の中で最も魂が火傷する作品だった。生涯ベストに土足で踏み込んできた。年明け早々にこんなものを読んでしまって、しばらく他の作品に触れられない。命を削って書いているというのはこういう作品のことを言うのかもしれない。作者自身、執筆後に十ヶ月間なにも書けなかったらしい。頁をめくるごとに頭が殴られ、言葉の渦に溺れる。息もできない。麻薬。本当に辛い読書体験だった。心を落ち着かせる時間がある時期でよかった。

2021/01/01

ぷく

図書館で偶然見つけ、お連れした一冊。著者の作品の傾向はなんとなく知っていたので、恐る恐る読み始めたが、次第に世界観に引き込まれていった。狂おしいほどの愛は諸刃の剣。血の涙を流しても、手に入れることのできない相手を恋う壮絶なまでの日々が容赦なく綴られる。死の淵を覗いてしまった二人にとっては、一歩踏み出すことの方が簡単だったのか。土埃、灼熱の大気、むせかえるような人々の匂いと絡みつく視線。異国の地は何者をも受け入れ、そして拒絶する。たどり着いてしまったからには、もう戻れない。気づけば遠い場所まで来てしまった。

2020/09/29

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