分冊文庫版 狂骨の夢 上 (講談社文庫)
分冊文庫版 狂骨の夢 上 (講談社文庫) / 感想・レビュー
がたやぴん
シリーズ3話目。序盤とは言え、京極堂はもちろん関口すらラスト1/4で登場。題名にもある夢の一文字に加え、フロイトの蘊蓄。夢判断、無意識、トラウマなどが連想される。基督や牧師の記載も西洋的な概念を持ち込むための布石なんだろうか。朱美に関する記載が、やや冗長に感じるが、それだけに重要な伏線をはらんでいるのだろうか。通常なら飽きそうなのだが期待しているだけに読むことをやめられなかった。また、2話目のネタバレもあるため刊行順に読むべき一冊。
2015/12/28
セウテス
『魍魎の匣』から二ヶ月後の話であり、前作のネタバレがありますので、順番に読んだ方が良いと思われるます。夫を殺した思いに悩む朱美は、元精神科医の降旗と神を信じる事が出来ない牧師の白丘に、教会で懺悔の如く身の上話をします。朱美の夫で幻想作家の宇多川は、妻のそんな状態を心配して、作家仲間の関口に相談をします。京極氏の作品の基本らしく、まず物語の中核を成す登場人物たちの紹介がなされます。まだ、何も起こってはいないのですが、普通ではない事が起こる期待を持たせる文章に、ここをしっかり読んで措かなくてはと思わされます。
2014/11/04
えみ
分冊文庫版にて再読。三度奇怪な出来事に巻き込まれそうな不吉な予感。それを察せずにはいられるほど鈍感でもない三文文士・関口巽の当たるであろう不安のあおりで中巻への繋ぎをつけた上巻。初っ端からインパクト大。独特の面妖さはシリーズ三作目にしても衰え知らず!髑髏を探す死者の訪問を受ける女。虚言偽りか妄言綺語か…まさか現実なのか。女の記憶に甦るは人殺しの記憶と他人の記憶。首無し遺体が意味することとは一体何か?精神医学の分野から見れば女は間違いなく精神疾患であるだろう。が、本当にそうなのか?と疑える面白さがある小説。
2020/12/25
里愛乍
表紙を捲り、文が目に入った瞬間から惹き込まれる。恰も目の前に在るような海岸の描写、詩のようなリズム、何よりもこの内容が。如何やら一人称による告白文のよう、但し謎しか得られない。そして登場する朱美という女、これがまたなかなか好みのタイプであります。この辺りの写実がすごくカッコいい。全体的に事が動き出すのは後半、知った顔も出てきて、前作の続き絡みも見えて、そろそろ本筋といったところです。
2017/05/28
みっぴー
百鬼夜行シリーズ三作目。予測できるのは骨と夢がテーマだということくらい。フロイトの夢談義が長く、終わり間際にやっとチーム京極堂の中で最も戦闘力が低いと思われる関くん登場。真打ちの京極堂の出番は何時になることやら…少々不安な気持ちが無いでもないのですが、下拵えに丸々一冊使ってしまうのだから、きっと度肝を抜く仕掛けが待ち受けているはず…!!中巻へ続きます。
2016/03/13
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