文庫版 百器徒然袋 雨 (講談社文庫 き 39-9)
文庫版 百器徒然袋 雨 (講談社文庫 き 39-9) / 感想・レビュー
ちょろこ
笑いしか出なかった、一冊。特殊な能力を持った容姿端麗頭脳明晰な榎木津探偵を主軸に描かれた薔薇十字探偵ワールド物語。とにかくくだけていて読みやすい。榎木津はもちろん、下僕ズを含めてそれぞれのキャラが満遍なく描かれ、誰に対してもクスッと笑いしか出ない。キャラが際立つスピンオフものは面白いなぁと改めて実感。そして「〇〇事件」と出てくるとやっぱり京極堂シリーズを読みたくなる。どの事件も榎木津が引っかき回しながらも、終わり良ければすべて良し。タイトルの「雨」も「晴」に変わりそうな爽快感と明るさも良かった。
2019/07/14
優希
面白かったです。薔薇十字探偵社の活躍する3編の物語。薔薇十字探偵というより榎木津が仕切った事件の数々。推理はしない榎木津の行動がまさに痛快という感じでした。益田くんや関口くんは元からですが、秋彦さんや木場、伊佐間、マチコまで皆が巻き込まれていくのが笑えます。秋彦さんは唯一下僕扱いされていないせいか、迷いや戸惑いを見せながらも芯を通しているのが凄いです。益田くんが刑事時代と比べると鈍い感はありますし、完全にバカオロカ扱い。ハチャメチャで痛快で楽しいし、薔薇十字探偵ファンにはたまらない1冊でしょう。
2016/08/18
bookkeeper
★★★★☆ 再読。薔薇十字探偵社の超人探偵が難事件を力任せに粉砕して回る中編3つ。「力任せに粉砕」とか何テキトーなことを、といわれそうだけど至極正確に記述しています(笑)。捜査も推理も一切しない探偵が、悪党達に天罰を下す。薔薇十字団なんて下品な団に入った覚えはない、と憎まれ口を叩きながら京極堂も楽しそうです。名前を全く覚えてもらえない"僕"は、気が付けばおかしな仕掛けに巻き込まれていく。私だったらやっぱり「うぅ」とか「ぐぅ」しか言えないだろうな…。 「そうだ!僕だ。お待ちかねの榎木津礼二郎だこの馬鹿者!」
2020/04/06
よむよむ
再読。いつのまにか始まった京極祭り。読み始めたらあの作品もこの作品も読み返したくなる。今作は榎木津礼二郎、大活躍の中編三編。薔薇十字探偵社に持ち込まれた依頼を、推理をせず特殊能力を足掛かりにハチャメチャに引っ掻き回し、破壊し、それでも最後は丸く収める離れ業が見事だ。いや最後に収めるのは京極堂か。もうとにかく痛快で爽快、暑さも吹き飛ぶほど楽しんだ。
2019/07/31
ゆいまある
榎木津と、それに巻き込まれた人々が主役の短編集。本編に比べると捻りが足りない。その分キャラ小説としてコメディ路線を強めている。関口が主役だと、散々困ったことになって、最後に助けてくれる京極堂かっこいい!て、なるんだが、今回はひたすらエノさんが暴れて、そこに悪知恵を投入して更に燃え上がらせるのが中禅寺といういつもと違う展開。もうちょっと絶望感というか暗さが欲しいなあ。話もできすぎ。主人公の名前が最後で明かされる展開は好き。
2021/08/08
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