桜闇 (講談社文庫 し 54-11 建築探偵桜井京介の事件簿)
桜闇 (講談社文庫 し 54-11 建築探偵桜井京介の事件簿) / 感想・レビュー
セウテス
建築探偵桜井京介シリーズ短編集第1弾。本作は、シリーズ登場人物の過去の物語を通して、より深く彼らを知る為の10作の短編集である。よって、全てが謎解きという訳ではなく、シリーズが始まる前やシリーズ本編の間に起こった、単なる出来事も在る。だが其れは、登場人物達の人生の何時に当たる出来事かハッキリとしており、彼らの人生にどんな意味を持つのか細やかに描かれている。シリーズ物のスピンオフというより、その登場人物達をこれ程現実的に形造った作品は少ないだろう。魅力的な謎なのに、ここ迄ミステリに感じないのも不思議である。
2019/04/24
coco夏ko10角
建築探偵シリーズ、10のお話収録の短編集。様々な時期の出来事。二重螺旋の塔、ネットで見たら想像してたより低くて通路が広かった。『君の名は空の色』ずっと気になっていた蒼と深春が出会った頃のことが読めてよかった。『桜闇』毒殺トリックより京介の…の方が印象が強い。最後に作品年表が。
2017/10/25
Tetchy
本格ミステリの短編といえば、限られたページ数という制約があるため、物語性よりもトリック、ロジックの切れ味が味わえるが、本書では逆に篠田真由美という作家が本格ミステリにはあまり向いていないことが露呈した作品集となった。主眼はあくまでもトリック、ロジックの妙味にはなく、長編同様に登場人物の抱える心の闇や建築物に込められた念や思想といった部分に準拠した人の行為が真相になっており、これはもはや本格ミステリではないといえるだろう。謎自体は非常に魅力的なのに推理のカタルシスをこれほど感じない短編集も珍しい。
2011/05/21
tomtom
二重螺旋の構造が想像したものであっているのか不安なので正解が欲しい。姉妹の妄想が怖い。人を何人も巻き込んでやるものではないし、そこまで時間をかける前におかしいことに気づいて欲しかった。教授や深春が主人公の話もあって楽しめた。
2023/12/11
薫子
何度目かの再読。建築探偵シリーズの短編集。1番好きなタイトルは「君の名は空の色」。行ってみたいのは「サン・パトリッツィオの井戸」。見てみたいのは「桜闇」の枝垂れ桜。と、京介の素顔。そして、深春と飲み明かし語り明かして神代せんせのお家に泊まって、翌朝蒼にコーヒーを煎れてもらいたい。なんて、どんどん作品とは離れた感想になってしまったな。
2014/07/25
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