半落ち (講談社文庫 よ 30-1)
半落ち (講談社文庫 よ 30-1) / 感想・レビュー
ehirano1
自分が「人間でなくなる」と患者に言わしめるアルツハイマー病を浮き彫りにし且つ嘱託殺人についての深過ぎる連作短編小説、当に圧巻でした。各章を飾る登場人物もまた哀愁と葛藤のなかで奮闘し、本書を盛り上げます。ラストは謎が明かされそして感涙ものです。当方はブックオフで本書を購入したのですが、最終ページは妙に波打ってるんですよね。これって、前持ち主の涙なのでしょうか?なんだかそんな気がします。
2017/02/12
yoshida
メジャー過ぎて何となく読んでいなかった作品。最後の数ページでの思いもよらない展開。そう、梶を死なせてはならない。深く感動しました。現職の警察官の梶がただ一人の身内である妻を殺害。自首してくる。梶は犯行を自供。完落ちかと思われたが、妻を殺害してから自首すりまでの2日間の行動は黙秘。半落ちのまま公判は進む。梶は早くに息子を亡くし、妻もアルツハイマー病を若くして患っていた。妻にせがまれ、やむ無く妻を殺害した梶。犯行後に自殺しようとした梶が、恥辱に耐えもう少し生きる決意をした姿に私は涙した。評判通りの名作でした。
2016/12/03
どんちん
事件・犯人の事を多面的に描写したものはいくつか読んだが、時間軸に応じてその時間に適した人の目線での描写で話が進んだものはあまり記憶がない。しかも、立場によって(事件の)見え方が違うというようなありがちな設定ではなく、見えないものは共通しているという、ちょっと変わった?設定で話が進み、気づくと時間を忘れて取り込まれていた・・・最後に志木が登場して、一巡的な感じで話が終わるが、うーーーん、ずっぽり取り込まれただけに、理由はそれか???と一瞬時間がとまったww
2013/12/15
zero1
人はどこかで他人と繋がっており孤独ではない。私はこれこそが作者の強いメッセージだと解釈した。アルツハイマーの妻を扼殺した警部。だが犯行後二日間の足取りについては黙秘したまま。刑事や検事、弁護士、刑務官など視点を変えて事件を立体的に表現。このスタイルは「告白」(湊かなえ)などでも使われている。直木賞決別宣言を出したことでも知られる作品。選考委員から「ありえない設定」だと指摘された。文藝春秋側が横山に選考手続きに問題があったと認め謝罪した。批判はあるだろうが、この作品は間違いなく名作。私は横山を支持する。
2018/11/08
再び読書
アルツハイマーの自分の妻を殺さなくてはいけなかったのと、息子の遺伝子を残す為の沈黙を貫き通す心持ちに涙が出た。
2012/05/01
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