分冊文庫版 鉄鼠の檻(一) (講談社文庫 き 39-109)
分冊文庫版 鉄鼠の檻(一) (講談社文庫 き 39-109) / 感想・レビュー
セウテス
京極堂シリーズ第4弾。2作目は新興宗教、3作目は密教と宗教的な背景を描いて来たシリーズ、本作は仏教の禅宗派を中心に進みます。更には箱根が舞台となり、いつもの仲間は箱根に終結する事になります。一作目の舞台となった久遠寺家の当主が、事件後箱根の旅館仙石楼に住んでおり、良い味わいを出し懐かしく思います。仙石楼に中尊寺敦子たちが、明慧寺の修行取材に訪れます。再開を喜ぶその時、雪の降る中庭に突如座禅を組んだままの、僧侶の遺体が出現します。雪密室となった事件の被害者は明慧寺の坊主と判り、話は寺の中へと続いて行きます。
2015/12/18
がたやぴん
シリーズ4話目。箱根を舞台に《禅》をモチーフとして描かれる。過去のキャラが登場する為、刊行順がオススメ。知った名が活躍するだけに読み進めるのが楽だ。京極堂の出番はまだまだ先になるが、ここでは榎木津が躍動する。
2015/12/30
えみ
分冊文庫版にて再読。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』の鉄鼠が奇妙過ぎて何度見ても見慣れない。目を惹く髭鼠のおじさん、いや髭おじさんの鼠?そしてこの絵に負けないくらい惹かれる、さすがは京極夏彦ワールド全開の奇奇怪怪の物語。雪の庭、突如現れた坐禅をした僧侶、そしてそれは遺体…という期待を裏切らない驚き奇っ怪全開の展開。京極堂に関口、敦子に鳥口、そして榎木津のお馴染みキャラたちに加え、何時ぞやの久遠寺に個性的骨董屋・今川が矢継ぎ早に登場。あれよあれよという間に通常通り不可思議な事件に巻き込まれてしまう。2巻も楽しみ!
2021/01/19
カノコ
坊主だらけである。約束の場に現れない坊主、不可解な坊主の屍、存在するはずのない寺院。京極堂すらその存在を知らなかった巨刹、明慧寺のラスボス感がすごい。その檻に囚われているのは、坊主なのか、はたまた別のものなのか。これまで読んできたシリーズの作品よりもテンポが良く読みやすい。物語りはまだまだ導入だろう。いずれ明慧寺に一堂が会することを予感しつつ、二巻へ。
2018/01/07
みや
文庫版既読。前作では複数の場所で起こる多数の事件が同時並行で描かれ、かなり広がりを持っていたが、今作は逆だ。その分、闇は濃厚で、奥は深そう。雪山の古寺は、たとえ広くとも息苦しい閉塞さがある。難しい仏教解説の担当が敦っちゃんなのは癒された。榎さんや鳥口君も大活躍し、京極堂と関口君のやり取りも面白すぎる。ここまで酷い応酬は今まで無かったはず。いつも馬鹿にされているが、彼の知識や記憶力、理解力や総括力は結構凄いと思う。学生時代の旅エピソードが良かった。長髪好きの私としては坊主ばかりの世界観に寂しさを禁じえない。
2016/12/31
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