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憂い顔の童子 (講談社文庫 お 2-14)

憂い顔の童子 (講談社文庫 お 2-14)

憂い顔の童子 (講談社文庫 お 2-14)

作家
大江健三郎
リービ英雄
出版社
講談社
発売日
2005-11-15
ISBN
9784062752565
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憂い顔の童子 (講談社文庫 お 2-14) / 感想・レビュー

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かみぶくろ

3.6/5.0 文章もストーリーも読み辛くてしょうがないのに何故か読んでしまう中期以降の大江健三郎。相変わらず生き辛くてしょうがなそうな作者の分身的主人公にキュンとする。三部作の二部だが、第一部の「取り替え子」で感じたようなカタルシスはなかったかな。

2023/01/13

ソングライン

嘗て少年期を共に過ごし、アメリカ人青年将校を右翼団体に売った過去を持つ、映画監督の義兄吾良が自殺し、90才の母が亡くなった後、主人公の作家古義人は生まれ故郷の四国の山村に帰り生活を始めます。遠い昔から村の危機を救ってきた神話的存在童子の小説を書くため、村に残る歴史遺物を訪ねる作家に対する故郷の人々、マスコミの冷たい視線、そして作家の知名度を利用しようとするホテル経営者。文体は平易に分かりやすくなるも、作者の現実と錯覚してしまう生臭さに、少し戸惑う読書です。3部作の最後に向かいます。

2020/11/29

ハチアカデミー

大江健三郎は、もはや生そのものが作品である。本書は、かつて見た/幻視した光景、それを何とか再現せんとする作者・読者・研究者のズレ、その全てを内包させた曼荼羅のような作品。過去はけして再現できない。それでも脳内のヴィジョンは揺らぎながらも残り続ける。過去を構造的に再現しても何も得るものはないのに再現を求める人間の性が描かれる。本書はけして傑作ではないが、大江という大河ドラマに欠かせない一冊。そして作家もまた、読者とともに己の人生をリリーディングし、新たな作品を生む。なんとも因果な作家である。

2013/08/21

モリータ

2022/8/4、前期授業の終わった日に阪神梅田の古書市で拾う。単行本2002年刊、本文庫2005年刊。解説はリービ英雄。

井蛙

『さようなら、私の本よ!』の後にこっちを読むっていう杜撰すぎる読書なんだけど、どこにも売ってなかったんだから仕方ないよね(大江のいくつかの小説がほとんど稀覯本みたいになってるのどうにかして)。今作は『ドン・キホーテ』を読んでる古義人がいつの間にかドン・キホーテ的出来事に巻き込まれてゆくという大江にしてはけっこう露骨な筋書で、ドン・キホーテ自身が騎士道物語を読んで騎士道的出来事に巻き込まれていったのだとしたら、この小説には幾重にも読むという行為が重層化されていることになるだろう。違う点は最後ドン・キホーテ→

2019/09/17

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