闊歩する漱石 (講談社文庫)
闊歩する漱石 (講談社文庫) / 感想・レビュー
ケイ
「忘れられない小説のために」←坊ちゃんのこと 「三四郎と東京と富士山」「あの有名な名前のない猫」の3つ収録。漱石と言えば、こころ、こころ、それから…に辟易しているので、この三冊がテーマは嬉しい。最初の2つはとっかかりは平易でなるほど、となるも次第にその語りの広がり方に脱帽。読者は入門部だけ読んで楽しむ、食らいついて出直すのもありだろう。ジョイスについての丸谷氏の言葉「ジョイスは、ジョイス学者たちが束になって向かってもかなわないくらい古代と中世の文学についての教養があった」(つづく)
2017/06/08
k5
丸谷才一の文学を愉しむ力は本当に圧倒的。出てくる本みんな読みたい。とくにボードレールのモダニズム論と『三四郎』を結びつける第二章が好きでした。漱石、たしかに十年くらい読んでないし、読んでみようかな。。。
2021/10/17
ハイランド
みんな大好き夏目漱石の初期の小説を、博覧強記の筆者が評論。面白くてためにはなるが、途中参考文献の引用部分は飛ばしちゃったよ。モダニズム文学誕生期のイギリスに居合わせた漱石の小説は、正しく伝統を踏まえたモダニズム小説だったということだが、文芸評論とは可愛い仕草の猫の可愛さの秘密を探る為に、猫を解剖してしまうという趣もあり、読むか否かは小説の好き嫌いとは別次元の話という気がしました。猫の章で「チビ犬ポンペイ」に触れながら、元ネタとして有名な「牡猫ムルの人生観」に触れないのは武士の情けなのか独文学だからなのか。
2018/07/12
あきあかね
学者による評論だと、明確な論拠を求め言い淀んでしまうかもしれないが、作家である著者の評論は、自由でおおらかな魅力を持つ。 漱石の作品から、『坊っちゃん』『三四郎』『吾輩は猫である』をとりあげ、それらを日本文学、ひいては世界文学の系譜の中に位置づける。 『坊っちゃん』の歯切れのいい罵り言葉の列挙から、文学の物づくしの長い伝統と、新奇な工夫を凝らす20世紀のモダニズム文学へと話は及ぶ。『三四郎』の「ストレイ·シープ」の台詞については、「あれはおそらく明治末年の青春を、ひいては近代日本の運命を、⇒
2019/05/30
AMU
初めて漱石読むかって思った。まずは三四郎あたりか。昔の日本語の美しさに触れたいと最近思う。
2016/03/06
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