分冊文庫版 絡新婦の理 (三) (講談社文庫)
分冊文庫版 絡新婦の理 (三) (講談社文庫) / 感想・レビュー
がたやぴん
凄いわコレ。緻密に練り込まれた事件。傀儡に掛かったように、洗脳されたように動いていた登場人物達。木場修側の事件に続き、女学院は榎木津が瞬殺で看破する。並列で進んだ事件は絡まり始める。2人の使いっ走り達が解決への糸口らしきものを抱え京極堂の元に集うが通過点と図式は見えるものの黒幕の目的を捉えられず手が打てない。そこへ、他の視点を持つ為のアイテムを敦子が持ち込み、織坂家からは今川が合流。「ーー憑物落としだ。」遂に蜘蛛の巣に乗る準備が整ったようだ。このシリーズで最高に読みやすく、引き込まれる作品だ。
2016/12/28
セウテス
バラバラであった枝河が、一つに集まり大河となって流れ出したもよう。2章から留まっていた女学園のストーリーが、榎木津の章と合わさるとは驚いた。しかも探偵として乗り込んで来た女学園で、あっという間に事件の一つを解決してしまう。流石スペックホルダー榎木津、だが彼は京極堂を連れてくる様に益山に命じる。目の前の事件は枝葉に過ぎない、彼を囲む人たちも単なる駒である。事件の解決には京極堂が必要であると、榎木津のスペックが答を出したのだ。連絡を受けて、遂に京極堂も動き出す事に、本当の犯人は誰なのか歴代最も知りたくなった。
2016/01/15
えみ
絡新婦の高度な洗脳!ますます面白くなってきた。最終巻を前に漸く重い腰を上げた京極堂。一体彼らにどんな真相と結末が待っているのだろう。大きく張り巡らされた蜘蛛の巣はたくさんの関係者を絡め捕り、焦燥に駆られた者から順に餌食となっていく。まさにこの混乱は蜘蛛が描いた地獄絵図。被害者と加害者、そして巻き込まれる者と乱入者というカタチをそっくりコピーしたような全く別の場所で起きた別の事件は京極堂の目の前で一本の糸に繋がった。刑事に探偵、そして骨董屋の持ち込んだ話から何が見えてくる?どんな予感がする?陰陽師、始動。
2021/08/07
里愛乍
かなり込み入った事件が絡まり合っているのに、ここにきてするりするりと解れていく―――ような。これまでのシリーズだと、京極堂が語ると更に内容が面白くなる一方、事件的には寄り道感があったのだけど今回は逆。内容が理解できた上、さらに確信に解りやすく迫ってきている。どちらにしても彼らが動くと俄然ページが進むなぁ。榎木津さんはやっぱり小気味よいですね、カッコいい!男性の無能ぶり、女性の豪傑ぶり、ここまで極端に描かれるといっそ清々しい。巻末の敦子さん「兄さんが動くのなら」の台詞が最高。即行に最終巻へ!
2018/06/02
カノコ
犯人の術中に嵌って翻弄される捜査陣を横目に、ついに京極堂が重い腰をあげる。まさに蜘蛛の巣のように、縦糸と横糸が幾重にも折り重なるように絡み合う複雑な事件である。その構造を丁寧に解き明かすための三巻だった。読者に優しくてありがたい。いよいよ大詰め、蜘蛛の巣の中央に鎮座する主を追い詰めるための糸を手繰り寄せる。やはり学園パートが面白い。女を憎む者、女を崇める者、賢しい女、それぞれの思惑の行方と、その背後にいる犯人が気にかかる。普通のミステリみたいだ。榎木津が登場すると嬉しくなる。好きなのかも知れない。
2023/07/30
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