K・Nの悲劇 (講談社文庫)
K・Nの悲劇 (講談社文庫) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
『命』について本作がもたらした美しき奇跡の感動に私は我が家の大切なあの瞬間を思い出した。1人、いや2人か、命懸けで頑張ってくれた妻と初対面の我が子に圧倒的な感謝と感激に溺れた。なのに言葉にならなかったあの瞬間。何の役にも立たなかった男が『父』になった瞬間。これからは俺が!と誓った瞬間を。本作は世に蔓延る愚かな男への警鐘。一時の快感のために避妊を避ける男共への強烈な刃!犠牲になるのは常に女性!責任と覚悟無きまま快楽を求めた結果の苦しみを、女性の痛みを知れと❗命は奇跡!生命の誕生という奇跡を軽んずるな‼️🙇
2020/04/25
青乃108号
この本の装丁画は作品のイメージをズバリ表現しているという意味では素晴らしいと思う。しかしながらそのあまりの不気味さに手に取るのを躊躇する人が大多数だと思われ、その意味では作品にとっては大きなマイナスだろう。意を決して読んでみればさすが高野の圧倒的リーダビリティによって一気読み必至の作品なんだけど。物語で扱われるのは妊娠と中絶。極めて重いテーマを扱いながら予測不能のラストに向けて加速化するストーリーに引き込まれる面白さ。読み終えた時は「明るい家族計画」の重要性を、嫌と言うほど思い知らさせる良作である。
2023/09/18
しんたろー
表紙のムンクの絵が恐くて避けていたが(笑)、高野さんの『ジェノサイド』や『6時間後に君は死ぬ』は大好き。本作は違うテイストのサスペンスホラー…フリーライター・修平が経済的理由から妻・果波に中絶を迫る事から始まる怪奇は精神障害か心霊現象か判らず、精神科医・磯貝と悪戦苦闘…男二人の視点で描かれる物語は、オカルトだが社会性も兼ね備えていて、安易に中絶を選ぶ「罪」への問題提起と男の弱さを暴いている。中盤からの手に汗握る展開は高い筆力を証明していた。20年程前に読んだのにウロ覚えの『13階段』を読み直さなくては!♬
2020/01/30
人間万事塞翁が馬ZAWAZAWA
命の尊さを実感!ドキドキしたけどハッピーエンドでホッ。病気なのか霊なのか原因は不明だったけど、気持ちはスッキリしました。正しいと思い決断する行動が、結果的に正しいかどうかは別物。しばらく読書から遠ざかっていたけど、読書の楽しさを再確認させてくれた高野さんに感謝!
2013/12/12
chiru
女性が直面する未知のイベント『妊娠』幸福の絶頂のとき、その幸福を否定されたら…。子供を産みたい妻と、受け入れられない夫。母親になる喜びも束の間、中絶という苦渋の選択。宿った生命を守りたい…無償の愛を発端にサイコミステリーな展開に…。初めて妊娠した女性の不安と孤独は、男性には理解しがたいもの。生命に向き合う覚悟を決めた夫。小さな命を救おうとする医師。生命のために命をかける母親。様々な障害と葛藤を乗り越えて産まれてくる命が愛おしい。一致団結の出産シーンに感動✨ オカルト風味を残すラストもよかった👶✨ ★4
2020/08/21
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