新版 サイキック戦争I 紅蓮の海 (講談社文庫)
新版 サイキック戦争I 紅蓮の海 (講談社文庫) / 感想・レビュー
臓物ちゃん
連合赤軍事件からサイゴン陥落までの流れを伝奇小説の体裁を借りて描くことで、二十世紀を蹂躙した共産主義という妖怪を浮かび上がらせた笠井潔の隠れた力作。昔懐かし「イヤボーン」が恥も衒いもなく出てきたり、登場人物が全員電波で長台詞ガンガン喋ったりと良くも悪くも昭和な作品だけど、そこが珍味になってて昭和フェチにとっては実に嬉しい。次巻はいよいよポル・ポト先輩が大活躍するようなので楽しみです。
2016/05/08
hroko
主人公は異能者の血族の末裔で、異能の力に覚醒して活躍…というのではなく、惰弱で怯懦なことばかり…留学先で彼女が妊娠して逃避的に帰国して、煮え切らない態度のために活動家に追われながら、異能を狙われて姉の家族が危機に。そして冒険が始まりますが、なんかこう、主人公はダメっぽい態度です。その一方で、毅然としたヒロインが素敵です。そのヒロインの助けを借りても甘えないところが唯一の救いかも。最後は覚醒した異能の力を発揮しますが…シリアスな時代背景などを和らげたら、ギャグっぽいラノベみたいで、そういう風に楽しめます。
2012/01/29
akiu
ヴァンパイヤーの次はサイキック。「コムレ・サーガ」を根底に敷いた、同一の神話群です。主人公が「連合革命軍」の裏切り者とは、笠井先生らしいテーマ設定だなと思う。他にも色々とダメな主人公ですが、それが自虐的ナルシシズムを感じさせますね。ベトナム戦争と絡めたストーリーは、思いのほか陳腐でいささかしょんぼり。サイキックアクションが全然炸裂しないのも何だかなーという感じです。最後だけ少し盛り上がったけど。というわけで、あまり期待せずに次巻へ。
2010/03/23
あきぴー@武蔵国
感想:★★★☆☆ 笠井潔さんが作るコムレ・サーガの一翼を担う作品です。 表面的には、陰謀説をちりばめた、登場自分が次々に死んでゆく、超能力を題材にしたオカルト小説にしか見えない。 一般的に幾多の苦難を乗り越えることで人間は成長するイメージを持っていますが、成長を拒否し、成長しようとする自意識を取っ払うことで、何か出来るのではないかとこの小説は問いかけているような気がします・・・ 本小説より先に復刊されている「バンパイア・ウォーズ」は同じシリーズでありながら正反対の書き方をしていますね。
2006/04/04
276
この主人公が後半ヘタレ返上してくれることを切に望む
2012/07/25
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