分冊文庫版 塗仏の宴 宴の始末(上) (講談社文庫)
分冊文庫版 塗仏の宴 宴の始末(上) (講談社文庫) / 感想・レビュー
セウテス
京極堂シリーズ第7弾上巻。宴の支度の解決編であり、ようやく宴が始まったという感じ。やっと登場人物が全て出揃い、物語はどんどん進んで行くが、囚われの関口はそのままの状態。鳥口が京極堂を訪ね本作の柱たる塗仏の背景が語られるが、どの様に収束にむかうのかが、全く解らないままだ。本巻にて中禅寺の作法が、説明されている事が興味深い。彼の作法は、事件解決に置いて犯人による隠された真実を明かにする、という探偵的なものではない。事件全体の特異性を無効化する事で、真実が在るべき所に収まる。だから、不思議は何も無いという事か。
2018/12/20
ゆいまある
宴の支度を読み終わってから続けて手を付けるべきだった。登場人物が多過ぎて誰が誰だったか覚えきれない。妖怪専門家も京極堂以外に多々良とか要るのかなと思いつつ、この人結構可愛いし、賑やかさが楽しい。関口君はイツメン以外からも猿呼ばわりされてる挙句、まだ正気になっていない様子。木場の旦那も失踪と、不気味な雰囲気が漂う。そして狂骨にも通じる自分の記憶が本当に自分のものか分からない不安定さ。これが気持ちよくてはまってしまう。一気に中巻へ。
2019/03/26
えみ
眩暈がするこの豊潤な悪意。生きた企み、密かな抗争…。何が起こっているかは分からない。しかし、何を起こしているかは分かる。終始纏わりつく得体の知れない恐怖と、忘却の彼方に置いてきた村と家族と平穏。誰かが何かを口にする度に、静かに、でも確実に歪み始めている。刑事・村上貫一は家族を壊され、小説家・関口巽は人格否定されたうえの殺人犯に、刑事・木場修太郎は忽然と姿を消す。そして華仙姑処女は忌まわしきあの日を語りだす。バラバラだった事件が少しずつ集結し少しずつ融合し少しずつその狂った宴を盛り上げていく。真実は何処に?
2021/10/08
Nyah
【お二人がお忘れになれば‥この世でその事を知るものは一人もいなくなるのでございます。(略)お二人は嘘を云ってない。(略)それが真実になってしまうのです。/俺は本当に山辺を知っているのか。】記憶操作【「宴の支度は整いました」/塗仏とはどんな妖怪か。】新興宗教のみちの教え修身会、韓流気道会、佐伯布由の事件(全員死亡あと村人が全く入れ替わる)、薬屋、催眠術。15年前に何があったのか。/木場刑事はどこに行ったのか 謎がばら撒かれる。/それにしても長い。まだ京極屋が本気になってないようだ。
2022/07/27
里愛乍
始末に入って、展開のスピードは少し落ちた感はありますが、またこの新たに登場する別の人のエピソードが、これまでのエピソードに微妙に絡んでるこの感じ、なんとももどかしい段階です。個人とか自我とかの布由さんの話や多々良の話は非常に興味深く、ストーリーの流れも気になりますが、こういう哲学?にも惹かれます。どちらかといえば本書は後半のこの辺りが特に面白かったです。この世の不思議。いや全く。これが当たり前ならば、取り立てて他に〝不思議〟な事など今更な気は確かにするな。
2019/06/28
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