輝く日の宮 (講談社文庫)
輝く日の宮 (講談社文庫) / 感想・レビュー
k5
すばらしい読書体験でした。小説を読むということがいかに楽しいか、ということを、主人公の安佐子さんの文学論を聞きながら、じっくり味わうことができます。彼女は泉鏡花の研究者なのですが、『奥の細道』や王朝文学にも一家言あって、学界でかなりヤンチャな部類と思われている。出てくる小説で最近読んだのは『宮本武蔵』くらい(、と登場人物の男も言いますが)でも、『宮本武蔵』のおもしろさがまた追体験できますから、本当に読み巧者というのはすごいと思います。現時点で今年のベスト級の一冊です。
2021/03/10
ken_sakura
楽しいd(^_^o)隆慶一郎が浮かぶ洒落た序幕は中学生の安佐子が書いた物語の習作。主人公は杉安佐子、大学講師、国文学者。長良との恋の塩梅が好き。仲の良い父親弦太郎が面白い。そして、「輝く日の宮」の話が魅力的♪( ´▽`)源氏物語はa系が書かれ、後にb系が嵌め込まれた二つの物語なのではないか?その過程に削除された一巻「輝く日の宮」があったのでは?源氏が書かれた当時の環境を推測(楽しい)しながら行われる推理(難楽しい(^。^))安佐子が紫式部に似て見える。幼い日の紫式部にも習作があったかも。紙ないけど^ ^
2018/07/28
メタボン
☆☆☆☆☆ 知的好奇心を大いに満足させられた。解説にあるが、源氏物語の奥行きや、それをめぐる時代背景、人間関係(特に紫式部とそのパトロン藤原道長の関係)が、現代小説にその構造を重層的に表現し、見事な文学ミステリーとなっている。冒頭、安佐子が少女時代に書いたという小説も、泉鏡花の匂いを感じさせつつ、ミステリアスで、この小説世界の導入として、素晴らしい効果を上げている。「奥の細道」を巡って御霊観を戦わせる場面、源氏物語の「輝く日の宮」という巻の有無について安佐子と篤子が論争する場面はスリリング。読書の醍醐味。
2021/02/02
i-miya
2013.11.03(初読)丸谷才一著。 2013.10.31 2003.06、単行本、講談社刊。 (カバー) 女性国文学者杉安佐子、『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考える。 水を扱う会社員長良との恋。 研究者として成長する。 文芸批評に翻訳、丸谷才一のエッセンス、注ぎ込む長編、ここに詰まっている。 章ごとに文章表現、変わる、話題騒然。 (〇夜=丸谷才一) 1925、山形県鶴岡市生まれ。 東大英文科卒。
2013/11/03
サンタマリア
『源氏物語』の『輝く日の宮』の存在をめぐる議論、松尾芭蕉が『奥の細道』を書きに東北へ行った理由の考察といった知的好奇心を刺激する内容が盛りだくさんだった。幽霊小説が書かれた背景について論じるとこが一番興味深かった。安西先生もうちっと踏ん張ってよ笑。最後に『輝く日の宮』を読むことになるんだけど、いまいち分からんかった。悲しい。直前のふりは「張り切ってどうぞ!」感があってテンション上がった。 また、いまのやってる大河ドラマの登場人物も話に出たりしてて、毎週日曜日がより楽しみになった。
2024/02/19
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