新装版 雪明かり (講談社文庫)
新装版 雪明かり (講談社文庫) / 感想・レビュー
じいじ
藤沢さんの傑作8短篇を収めた一冊。恋人の父親の冤罪を晴らす物語【冤罪】や【暁のひかり】など既読の作品もあったが、どれも粒ぞろいで面白い。私の一番のお気に入りは、27頁で今ひとつ物足りなさへの不満が残ったが、表題作の【雪明かり】が断然好きです。世間体に縛られる武士の家柄の古い掟を破って、若い武士の一途な恋への決心と、将来への野望を貫く話です。間違いなく、また読みたくなる一篇です。
2021/08/03
yoshida
藤沢周平さんの短編集。武家モノと市生モノで構成。どの作品も趣きあり楽しみつつ読了。標題作である「雪明かり」。高禄の家に養子となり、実家と交渉の絶えた菊四郎。血の繋がらない妹由乃の病を知り、運命が動く。養子先を捨て江戸に飛ぶ菊四郎。最後の雪明かりの描写が、目に浮かぶように鮮やかであった。「潮田伝五郎置文」は物悲しく趣がある。軽輩の家に生まれた伝五郎。喧嘩を切っ掛けに上士の娘七重を知る。断ち切った筈の七重への思慕。七重との再会と醜聞。それは伝五郎をある行動へと導く。人の想いの儚さと哀しさ。魅力ある短編集。
2023/02/19
s-kozy
人生は思い通りにはならぬもの、だからこそ生きることに価値があるのかもしれない。かと思えばふとした出会いがいい結果をもたらすこともある。かくも人生はままならぬ。八編からなる藤沢周平らしさ満載の短編集。新装版で1ページあたりの字数が少なく、読みやすくなっている。
2016/11/09
kei302
8篇の短編集。武家ものあり、市井ものあり、海坂藩ものあり。表題作ラストは「菊四郎、跳べ!」 と叫びそうになった。『冤罪』理不尽さの苦味と真相に読み応えがあった。
2023/01/10
ポチ
8話の短編。武士であろうと、町人であろうと、博打打ちであろうと、これだけは譲れない誇り・生き様が切ないなぁ。
2019/01/03
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