ワイルド・スワン 上 (講談社文庫 ち 4-1)
ワイルド・スワン 上 (講談社文庫 ち 4-1) / 感想・レビュー
遥かなる想い
ひとことで言うと、現代中国のすさまじい歴史を描いた強烈な秀作だと思う。現代中国を描いた作品としては、山崎豊子『大地の子』があまりにも 有名だが、『ワイルド・スワン』はノンフィクションであるがゆえに、たまらない緊迫感が伝わってくる。それにしても、(私はよく知らないのですが)「文化大革命」とは中国にとって、一体何だったのだろう、といつも思う。 集団の狂気ではかたづけられない、やるせない思いをいつも感じてしまう。
2010/05/19
ehirano1
上・中・下と三巻構成ですが、上巻だけで腹一杯。戦争と文化的新旧交代の激動に翻弄されながら、著者一家は人生のそして世代の糸を紡ぎ続けます。その糸は事ある毎に攻撃に曝されますが、切れることなくキレることなく(←これ大切!)紡ぎ続けます。本書は読み手に体力を要求する作品なのですが、続きが気になるので頑張って(?)中巻へ!
2022/09/24
空猫
市井(中流階級)の女達(三代)の体験記がこうも劇的で面白いとは。母が語った彼女の生涯を娘(著者)が文に起こしたという作品。もっと早く読めば良かった。中国の近代史(清朝-日本-共産党)と共に、絶対的な家長制度、個人よりも親類縁者を優先する慣習、礼節にしきたり、纒足を始めとする女性蔑視…とあらゆる角度の中国が庶民目線で把握できる。何かにつけて「拷問、処刑(リンチ)」の中国人も(|||´Д`)。やっと著者が生まれた処。中巻へ。
2021/09/12
ころりんぱ
お隣中国の壮絶な歴史が綴られている。祖母、母、私の女性三世代のノンフィクション。著者の祖母はまだ女性に名前をつける習慣のなかった時代、意思とは無関係に婚姻させられ時代の波に翻弄される。纏足って、言葉では知っていたけど、どれだけの自由を女性から奪っていたのかという事、女性が虐げられていた事、初めて知る事実に震え上がる場面も多い。共産党員として革命のために活動する母の生き方も色々と衝撃的です。日本で言えば戦後復興期、中国で起きていた内戦、共産党内での粛清や監視の様子、淡々と語られるからこその怖さがある。
2014/02/23
イノ
筆者の祖母の代からの物語。纏足を始め狂気めいた風習と文化に苦しめられるなか結婚する祖母。これだけでも十分波乱に満ちた人生だが、理不尽な中信念に生きる母も強くて凄い。 革命を経て共産党と毛沢東の大躍進。 夢見たものが儚くも散って 中国全土を巻き込んだ狂乱の宴は熱量を帯びて鳥肌が立った。 たびたび訪れる束の間の平穏は本当に暖かくて癒される。 舞台は私の物語へ続く。 これがノンフィクションだなんて信じがたい。よく出版できたな。 とてつもなくお勧めだけどエネルギーを使うんで 下巻はゆっくり読みます。
2016/10/30
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