夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫 き 26-10)
夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫 き 26-10) / 感想・レビュー
おか
木戸番小屋シリーズ4弾。吉川英治文学賞受賞作。今回は 女のの辛い生き様 情の深さ 貧困等 哀しく 切ない話が多い。その中で いつもと変わらぬお捨と笑兵衛夫婦の何気ない優しさに包まれて 生きる力を取り戻す。この「何気ない」が大事なのだと思う。只々 その人に寄り添い その人を受け入れる懐の深さ 真似しようにも真似できない。お捨が言う「お互い様」これが全ての原点なのだ。
2017/05/23
ろば
江戸と現代、時代こそ違え日本人の根本的な人情って変わっていないと思う。今でこそ木戸番小屋はないが(笑)笑兵衛とお捨夫婦みたいに、顔を合わせるだけでふっと生きる勇気が湧いてくるような癒し人は平成の現在においてもあちこちにいるんだろうと思う。わが町の笑兵衛、お捨てにはまだ出会えていないような気がするけど、ただ気づいてないだけかも^^
2017/05/09
ぶんこ
「人情は甘やかすことではない」との末国善巳さんの解説が、目から鱗でした。 笑兵衛さんとお捨さんの親切がすごすぎて、もし自分なら、と考えてしまい、どこまで踏み込めばいいのかの判断に迷って、何も出来なくなってしまうだろう。 親切にしたつもりで、相手に怨まれたりもするだろうなぁと考えながら読んだからです。 つい、忠告したり、こうしたら、ああしたらと言ってしまいそうです。 甘やかしていたんですね。 おたつさんの身の上を探った結果を知ってのお二人のつぶやきに、すべてが表されていたのだと、解説を読んで気づきました。
2015/05/15
tengen
木戸番小屋シリーズ4☆女が自立するのは大変だ、頑張るおもよ達☆家のために犠牲になったおしずが見つけた女の道☆堅物の山左衛門が、浮気?まだ取り戻せるか夫婦の仲☆助けられた老婆とそのために亡くなった若侍、二つの命☆裏切られ人の裏ばかり思うようになったおいとは太九郎の想いが信じられない☆捨てた娘との再会した駒右衛門、おるいの怨みを知りつつ一緒に暮らすことに☆積年の恨みを晴らすべく三郎助を引きずりこむおたつ☆グズな二人、15年の恋☆彡女のしごと/初恋/こぼれた水/いのち/夜の明けるまで/絆/奈落の底/ぐず
2019/08/22
ケイプ
木戸番小屋シリーズの第四弾。「起こしちまったか?すまねえ」木戸番小屋の夜の仕事を終えて朝方戻ってくる笑兵衛。お捨は笑兵衛の気配で目が覚めた。長火鉢の炭火をつぎ足しその炭の上に鉄瓶を乗せ、何ということなく二人でその火種を見つめている。そばを流れる川音は夜になると高くなる。静かに時が経つ二人のこんな情景、いいなぁ。木戸番小屋にやってくる人々の心に、お捨も笑兵衛も出しゃばらずそっと寄り添う二人。もう少し話は続きます。
2014/06/02
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